ヤママネ搬送事件 その2

お昼前ぐらいだったと思います


店の入り口から

ヤママネが入って来ました

にこにこしています。

慌てて聞きました

「もう大丈夫なんですか?」

「ああ、まあ大丈夫」

よかったって思いましたよ。

ヤママネはそのまま事務所へ行ってしまったのですが

その日はもう

ヤママネを見かけることはありませんでした。


翌日

店では管理のモモさんが怒っていました。

「ヤマさんあの人、めちゃくちゃだよ」


聞けば

昨日は他の部門のパートのみなさん

当然ですが心配していました。

モモさんは店長に言われて救急車を呼んだり

その後いろいろ書類書いたり大変だったそう。

そんな中

ヤママネが戻ってきて

「お腹すいちゃったー」

食堂でお昼ご飯をしっかり食べて

お喋りして帰ったそう。

倒れた原因は過呼吸だったそうです

今までも倒れたことはあったそうなんですが

救急車を呼んだのは初めてだったって。

それよりも

モモさんが怒っていたのは


「普通はさ、心配かけましたとか迷惑かけたとか

まずは謝るもんじゃん。みんな心配したんだから。

そういうのはないし、平気な顔で飯食ってるし

普通はご飯なんて食べれないよ、そもそも店にも来ないでしょ。

こっちは書類やらなんやらで大変だったし!」

で、

「もう次倒れても救急車呼ばないかんね」


そんなことがあったとは・・

そりゃ不愉快になります。


ハセさんや私にも

昨日のことについては

全く何も話してはきませんでした。

私はともかくハセさんにはきちんの話をしないといけなかったはずです。


何で知らん振りするんだろう?

何考えてるんだろう??


不思議でしかたなかったんですが

自分にとってイヤなこと、都合が悪いことは

すぐ避けて逃げる

ヤママネの常套手段だということに

気づいていくことになります。


おかしなことはまだあって

ハセさん、店長から

ヤマさんはマネージャーでハセさんよりも立場が上だから

もう少し言葉遣いに気をつけてと言われたそう。

何それ?です。


昨日病院から戻ってきて、店長に自分の都合のいいように話したんでしょう

ハセさんは

「店長に、普通に話してただけで、急に泣き出したって

話したんだよ、なのに」

まあとにかくそうしてくれと言われたそう。

私も昨日その場にいたので、店長に事情は話しました。


「店長にしたらマネージャーのヤマさんのほうが大事なのよ」

店長は異動してきて日が浅くて

きっとマネージャーの言い分を取ったってことなんでしょうね


パートさん達はハセさんの味方でした。

「えらい目にあったね」

「ハセさん、気にしなくっていいよ。けろっとしてたんだから

みんなが心配して声かけるから、食堂で上機嫌だったんだよ

気にするだけ馬鹿みたいだよ」


いろいろなぐさめてもらったそうです。


それにしても

ヤママネは50代半ば

パートからマネージャーにまでなった

ってことは

仕事は出来る人のはずです。


多くの人と関わって

社会人としての常識は

それなりに身についているはずと思うんですが


どう生きてきたら

今回のような態度が取れるのか

理解出来ない人間が

自分の近くに存在している

ちょっと


気味が悪いというか

不安でした。













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