ヤママネ搬送事件 その1

2年目の頃

デイリーに待望の新しいパートさんが入りました。

名前はユキさん

彼女はさばさばしていて、よく笑う明るい人。

あっという間にどの部門のパートさんとも打ち解けて人気者

私もユキさん好きでした。

ヤママネもユキさんはとても気に入ったらしく

べったりしていた記憶があります。


そんなユキさんが仲間に入ってしばらくした頃


ヤママネのミーティング

相変わらず時間ばっかりかかるし、始める時間も遅くて

ハセさんやイケさんと

また長くなってるよ、なんてぶーぶー言ってました。

それと、朝の売価変更作業をハセさんと交代でしてるのですが

担当していない乳製品とパンが難しく、ハセさんが

「前はヤマさんがパンの売価変更はしてたのよ。

いつの間にかあたし達がするようになったけど

担当してる人が作業したほうが早いわよね」

そんな話をした翌朝

ハセさんはヤママネに作業場で

改善してほしいって話をしたんですね


そんな話をしてるとは知らなくて

売価変更していた私、わからないことがあってハセさんを探して

作業場に入ったら

おかしな雰囲気になっていました。

ハセさんがヤママネに

「だから、もうちょと考えてくれたらって言ってるの」

そう言ったら

ヤママネが泣き出して

「いっつも悪いの私じゃない!私だってやりたくてマネージャーに

なったんじゃないのに。もう辞めたい」

「そうやってすぐ泣けばいいと思ってるでしょ!

あのさ誰が悪いとか言ってるわけじゃないのよ、時間を考えてって言ってんの!」


瞬間


ゴツッって音がして


ヤママネが顔から倒れたんです


私もハセさんも呆然

「ヤマさん!」

とにかく意識の確認しなくちゃと

耳元で

「聞えますか!」を繰り返していました

子どもがしている少年野球で救急講習を受けたのが

こんなところで役に立ちました。


息はしていますが

ヒューヒュー苦しそうで、話しかけても反応しません。

ハセさんもショックで真っ青です。

そこへユキさんが入ってきて、すぐに店長を呼びに行ってくれました。

ヤママネは意識はありそうですが私の言葉に反応しません

まっすぐ顔から倒れたので

頭は打ってなさそうでしたが

もしものことを考えると動かせません

店長が来たので状況を説明して

救急車を呼んだほうがいいかもと伝えると

「わかった」

店長が救急車を呼んでくれました。

車が来るまでの間ユキさんと一緒に

声をかけ続けました


しばらくして救急車が到着

ヤママネは病院へ。


こんな状況でしたが

とにもかくにも開店出来るように準備をしなくてはいけません。

ハセさん

「もし何かあったら私のせいだわ」

かなりショックを受けていました。

私も

目の前で人が倒れるなんて初めてで

ただただびっくりしてしまって

とにかく無事でと思いながら仕事をするしかありませんでした。



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