白い城

むかしむかしあるところに、小さな王国がありました。

国の真ん中には立派なお城が建っており、国の周りには真っ白のきれいな花が一面に咲き誇っています。


ある日、その国に新しい王様が誕生しました。

王様はまだ10歳の少年でとっても見栄っ張りでした。


どんな国にもない珍しいお城に住みたいと思ったので、国の周りに咲いている真っ白な花の花びらをお城の壁中に貼り付けるように国民に命令しました。


完成したお城は真っ白な花びらに包まれて、とてもきれいでした。国民も皆出来上がったお城に満足していました。


しかし、季節が過ぎていくとともに花びらは枯れ土となり、お城は茶色くくすんだ色になってしまいました。国民は皆悲しみました。王様も泣きました。


しかし翌年の春、なんと壁中の茶色い土から植物が芽吹き、お城はたちまち緑色になります。これはもしや、と国民も期待してそわそわしています。王様も毎朝早起きして今か今かと待ちわびるようになりました。


待ちに待った日がやってきました。壁中に生えた植物が一斉に花開き、お城は真っ白なお花で包まれたのです。壁に付いた土に白い花の種が付着していたのです。


どんな国にもない真っ白な花に包まれたお城を、王様は誇らしげに毎日眺めます。もう枯れないように、今では王様自身が日々水をかけてお手入れをしています。

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