魅惑の1億円★ 水害の日

雨がスゴい!!

バスの中に入ったとたん、

ゲリラ豪雨状態になった!!


バスはなんとか駅まで着いた。


傘をさして、

レインコートに、

レインシューズだけど、濡れた!!


電車は、

なんとか動いていたけれど、

私の降りた駅の先の方は、

線路が冠水しちゃったとかで、

折り返し運転になっちゃった!!


バスは満員になり、

タクシー乗り場は、

長蛇の列!?


つくづく、

歩きで帰れるって、

有りがたい♪


高架下の道路が、

水没して、

通れなくなっていたり、

地下用水路の暗渠(あんきょ)の中には、

水が流れなくなっているために、

水溜まりが、

池になっちゃった!!


通り過ぎる車は、

水しぶきをたてながら、

走り去って行く!!


上からも、横からもびしょびしょ!!


まだ風が無いだけ、

有りがたい!!





家に帰ると、

晩御飯は、

質素になっていた。


私は、苦笑した。


「昨日、フンパツするんじゃなかった~。」


ママは、自業自得……とばかりに落ち込んでいた。


「ハハハ……。

会社辞めないでいて良かった~!!」


パパは、妙にハイになっていた。


「……ごめんね……。」


嘘ついて……。



TVのニュースを見たら、

川の水位が、

警戒水位を越えていた!!


「大丈夫かな~。」


「平気さ!

ここ30年、

1度も冠水したことがないからな!!」


パパはニュースにウンザリして、

チャンネルを回しだした!!


どこもニュースの字幕入り番組か、

緊急ニュースだった!!


今日は録画番組をつける事になった。





いつものように、

お風呂に入って、

ベットにもぐったら、

ぐっすり眠っていた……のだけど……。


夜中……。


また2時に、


「嘘つき!」


カナミの声!


あ!?


右足が痛い!!


もう痛くないからって、

湿布取っちゃった辺りが、

ズキンと痛む!!


腰も痛い!!


足元に……眼だけが、

憎たらしそうに睨む黒い固まり……。


また出た!!


ゾワっと全身鳥肌が立った!!


でも、沢山だった黒い固まりは、

1つだけに減っている……。


また金縛りで動かない!!


「もう!!

カナミが言ってた宝くじって、

ヨッシ~、

転売しちゃって、

1億円逃しちゃったんだって~!!

カナミの嘘つき!」


サトチンの声がする!?


「違うよ!!

ヨッシ~が、

宝くじ売り場で……。」


カナミが答えている。


「あ~?

はいはい、

カナミちゃんは、

見たんだって?

本当かな~?」


からかうようなサトチンの声。


「ヨッシ~が……、

嘘つきだわよ!!」


カナミは、

悔しそうに吐き捨てる。


「あっそ……。」


サトチンは、あきれたように、

そう言って、

声が遠ざかる。





「ヨッシ~!!

どうせ、

ずる休みしたんでしょ?」


足元の黒い固まりが、

カナミの声を出して、

私に詰問する!!


声が出ない……。


「1億円、独り占めして!!

親にもナイショなんて!!

嘘つきはアナタなのに、

どうして私が嘘つき?」


黒い固まりは、

ザワザワ拡がって、

私に襲いかかってきた!!


「生き霊……。

お友だちが、

飛ばしています。」


香奈ちゃんの落ち着き払った声が響く。


そうみたいね~。


「嫉妬ですね……。

お金がらみの……。

ちょっと応急処置しますが、

必ず厄落としして下さいね!!

あくまで応急処置ですから……。」


そんな事~あの雨の中、

帰るのに必死で、

出来なかったわよ~!!


と思っていたら、

背中から、

私は、光に包まれて、

黒い固まりは、

叫び声をあげた!!


足元のポッカリ空いた空間に、

黒い固まりは吸い込まれ、閉じた。


タイムマシンの出入り口か、

天狗の抜け穴や、

通り抜け……といった、

キテレツな発明品か、

秘密道具のアニメの世界を

リアルに見たような気分……。


金縛りが解けて、

頬をつねってみた。


痛い!!


とにかく、

不思議霊感少女の香奈ちゃんに感謝♪





朝、目覚めて、

いつものように、

トイレに入って、

便座の蓋をあけたら、

トイレの水がつまっついる時みたいに、

便器一杯に水位が、

上がっていた!?


「な……ナニコレ!?」


台所でお母さんの悲鳴に似た叫び声がする!?


シンクが詰まったみたいに、

水が溜まっている!?


「洗い物していたら、

水が流れなくなって!!」


「トイレも流れない!!」


下水が、満杯って事!?


「電車、大学方面は、

不通になったぞ!!」


「えっ!?

ウソ!?」


会社の方面は、

まだ動いているみたい……。


パパは慌ただしく、

出勤準備を始めた!!


「今なら電車が動いているから、

会社に間に合うかも!」


そう言って、

30秒で仕度したパパは、

いつもより、

1時間早く、

会社へと、

どしゃ降りの中、

出勤して行った!!


あ、

大学からのメール!


「今日は臨時休講だって♪」


「シンクの水、

さっきより、

少しだけ減っているわ♪

やっぱり詰まったんじゃなくて、

下水が一杯で、

排水が間に合わないのよ!!」


庭を見ると、

芝生が池になっていた!?


いつもより池が深いな~!!


「大変!

隣の市が、

床下浸水ですって!!」



え!?


急に雷が鳴り出して、

地響きがした!!


ゲリラ雷雨~!?


怖いよ~!!





「お父さんは、無事に駅に着いたみたい。

あらまぁ~!!

川が溢れそうね!!」


ママと私に一斉メールで、

隣町の川の写メを添付していた!!


あと1mは、余裕が有りそう……。


「あと1mしか、

余裕ないわ!!」


ママが急に慌て出した!!


「え?」


大丈夫……よね?


TVのニュースを見たら、

隣町の冠水の様子が流れている!!


「あらまぁ~!!

コンビニが、

水に浸かっちゃって……。」


避難所に移動が困難な場合、

2階以上に移動して下さい!!


とか表示している!!


「避難グッズどこだったかしら?」


震災から買いだめしたモノは、

消費期限切れで、

去年買い換えたハズだった!!


「確か押し入れ?」


あ、あった!!


「それ持って2階に!!」


「うん!!」


1階が水に浸かるんなら、

貴重品は、2階に上げなきゃ!!


私たちは、

階段を何度もバタバタ上り降りして、

貴重品を2階に移したりした。


激しい雷が、

聞こえなくなってきて、

雨が小降りになってきた。


「ねぇ~!!

ペットボトルの水!

期限切れてたわ!!」


そう言えば、

震災直後の買い占め騒ぎの時以来、

まだもつからって、

しまったまま忘れていた……。





「小降りだから、

今のうちに、

食料品とか、

買いに行かない?」


「非常食も、1回分しかないし……。」


川の決壊→1階浸水→2階に逃げる→救助まで手持ちの食料品→水がない→固いままのカップラーメンをかじる!?


それは避けたい!!


「買いに行こう!!」


幸い駅までは、

徒歩15分圏内♪


長靴にレインコート、

傘をさして、

だいぶ小降りになっている中、

駅前のショッピングセンターに向かった。





あっちこっち水溜まりで一杯になっていた!!


まだ、川はパパの写メと同じぐらいの水位だった!!


道路の排水口は、

詰まったように水溜まりになっていて、


もっと豪雨が続いたら、

ここも冠水被害に遭いそうだ!!


「家って、意外に高台近くだったんだね!!」


「そうね、丘の中腹より高いかしら?」


丘の麓や谷間のご近所さんが、

まずは浸水被害に遭って、

避難所の小学校は、

最初に浸水しそうな、

一番低い土地に有る!?


駅前のショッピングセンターの入り口には、

土嚢が積まれていたので、

階段を上がった2階の入り口から入った!!


傘を傘袋に入れて、

先ずは、トイレに行った!!


ショッピングセンターは、

いつもと変わらない様子で、

ただ、客足は少なかった。


「お腹空いちゃったわ!!

先にレストランに行きましょ♪」


「ええ♪」





レストランは空いていた!!


いつもは結構待つ店なのに……。


駅前が見える席に着いた。


駅のホームは、

混雑しているようだ。


なかなか電車が来ないみたい!!


ふと、メールを見たら、

パパは1時間半遅刻で、

会社に着いたみたい!!


3時間半通勤にかかったようだ!!


「パパは1時間早めに家を出たのに……。」


「あの人たちは、

普段通りに家を出て、

まだ電車に乗れないのかしらねぇ~?」


「大変だね……。」






レストランに居ると、

1階が浸水しそうな大雨が降っている事を忘れそうになる……。


だが、見下ろした駅のホームの混雑している様子が、

異常事態になっているのだと、

思い出させる!!


そうだった……。

買い物に来ているんだった!!


もしかしたら、

東北の親戚みたいに、

買い物に来ていた先で、

震災ならぬ水害に遭ったりして……。


こんな贅沢出来なくなるかもしれないね……。



レストランを出て、


本屋で、防災用品とかが書いてある本を買い、

その本を参考に、

薬や、非常食、

防災グッズに水を

買い求めた!!


買い物が終わって、

外に出たら、

雨が上がっていた♪



家に向かって歩いて帰ると、

川の水位が、

2メートルほど下がっていた!!


「このまま止んでくれたら、大丈夫そうね♪」


「本当だね~♪」





あ!!

そう言えば、

この道の先に、

神社があった!!


「ね!!

ママ~!!

あそこの神社に寄って、

冠水被害に遭わないように、

お願いしようよ~!!」


「そうね!!

すぐ近くだし♪

パパが無事に帰って来て欲しいし……。」


神社はうっそうとした木々の中、

高台の頂きに鎮座している。


鳥居をくぐり、

拝殿に向かう。


宮司さんの常駐していないので、

御水舎は、

水道の蛇口から、

水を受ける造りだ!!


なんだか綺麗に見えないので、

手洗い省略して、

そのまま拝殿に向かった。


私は、小銭を取り出し、

腰と右足を小銭でさすってみた。


ママは先に、鈴の緒を揺らして、

鈴を鳴らし、

柏手を打って、

パパの無事を願っていた。


私も、手に握った小銭を賽銭箱に入れて、

鈴を鳴らし、

柏手を打って、

厄落としと、

大雨が晴れるよう祈った!!


「さ、帰りましょ!」


「うん♪」


鳥居をくぐって、

神社の境内を出たら、

右足と腰の重だるさが、

軽くなった!!

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