オレ彼!?★ 街灯の君の章 待ち人来る

私は、遥華の身体に入って、

行ってみたい所を歩く事が出来たので、

遥華の家族が夕食中に、

ちょっと外へ出てみた!!




大きな建物の外は、

寺町だった!!


ここは知っている……。


私のお屋敷の裏通りだわ!!


あまり変わっていないけれど、

塀が随分古くなっていた。


ここから真っ直ぐ行くと、

あの街灯がある!!


街灯の灯りの下で、

私は、

来るはずもないハンカチの方を待ってみた!!


街灯は、

随分明るい……。


町の様子がすっかり変わり果てて、

恐くなった……。





「きみ、一人?」


暗がりから、

男の声がした!!


こないだ見たテレビみたい……。


ならず者が、若いセーラー服の女学生を

連れ去って、

車に押し込んだりして、

襲いかかって……!


怖いわ!


「どうしたの?

誰かと待ち合わせ?」


ならず者……じゃないようね……。

声は、ハンカチの方に似ている。


私は、頭(かぶり)を振った。


「……帰るの……怖い……。」


ドラマの他の女優さんの台詞を言っていた……。


「どうして?」


「家の近所で、

若い女性が、

襲われたの……。

……知り合いが通らないか、

待っていたけど、

来ないから……。」


これもドラマの台詞……。

私は、ヒロインになりきってみた。


「送るよ!

オレ!!

守ってやる!!」


ハンカチの方!!

まぁ、そっくり!!


「……いいの?

君?」


ハンカチの方は、頷いた。


「どっちかな?」


「そこの路地……。」




「なるほど……。

女の娘一人じゃ、

こえ~かもな!」


私は頷いた。





寺町の奥に建つ、

新築マンション!


TEMPLE STREET OF RESIDENCE MANSION

高級感溢れるプレートが、

マンション入り口に飾られている……。


たしかここだわ……。


「ありがとう……。」


ハンカチの方は、

テレビドラマと違って、

紳士的だったわ。


「オレ、塾の帰りにあそこらへん通るから!

また送るよ!」


私は頷いて、手を振った!


またあの方に逢えた!!


また明日、

あそこに行けば、

あの方に逢えるかしら?


私は、すっかり、

ハンカチの方と、

彼とを混同していた!!





翌日、

ハンカチの方が、

また来てくれるかと、

街灯の下で待ってみた……。


「街灯の君、

送りましょう♪」


ハンカチの方!!

やっぱり、

貴方なの!?


「……今晩は……。

そういえば、

名前も知らなかったわ……。

私は、醍醐寺 絢香(だいごじ あやか)……。

貴方は?」


「オレは、細河 融(ほそかわ とおる)。

高二だよ!」


「私は、高一……。」


不思議な事に、

遥華の中にいる私が、

昔のままの私の姿に、

融さんに見えているよう……。


「昨日はありがとう!

部活の帰り、

いつも遅くなるから……。」


ドラマの台詞を言えば、

融さんも納得している……。


「じゃ、絢香ちゃん、

行こうか♪」


「うん……。」


絢香ちゃん……。

ハンカチの方は、

私の名前を知らなかった……。


まるで、

夢みたい!!





「いつも帰り道、

怖かったの……。

でも、先日、

そこの角で、

痴漢が……。


同じマンションのOLさんが、

襲われたって聞いて……。」


これもドラマの台詞……。


「そっか~!!

この道も、向こうの大通りも寺町だから、

人が通らないもんな……。

年頃の娘は、

心配だろうな……。」


私は頷いた。


すると、融さんは、

私の手を握ったの!!


なんて大胆なの!!


私は、周りをきょろきょろしたけど、

寺町の路地には、

誰も来ない……。


「手、つないでいけば、

怖くないかな?」


「……細河さん、

ありがとう……。」


温かくて、

大きな手……。


「融で良いよ!」


「融……さん。」


ハンカチの方と、

私が手をつないでいるみたい!!


私は、ドキドキしてきた。





「絢香ちゃんって、

部活何やってる?」


「手芸部……。」


確かドラマもそう言っていた……。


「融さんは?」


「バスケ部。」


他のドラマに出ていた男の子が、

やっていたわ!!


「スゴい!

私は、運動とかダメなの……。

融さんって、

モテる?」


遥華の記憶から、

今の若い娘の使う言葉使いで、

私は、話している……。


「う~ん、タイプな娘に、

告白られたことね~から、

彼女募集中♪

絢香ちゃんは?」


好みの女性に

気持ちを告白してもらった事が無いと言う意味だと、

遥華の記憶が、

同時通訳してくれる……。


私は、

頭(かぶり)を振った!!


「私、一度も付き合ったことない……。」


つけ文もらったけど……。


「え~!!

嘘だろ?

絢香ちゃん!!

オレなら、

絶対絢香ちゃん、

ほっとかないぜ!!

オレ、絢香ちゃんの彼氏に、

立候補したい!」


「ウソ!?

本当に?」


やっぱり、貴方は、

ハンカチの方!!





メアド交換をしようという事になった……。


遥華の記憶を読み取り、

ポケットに入れてあった携帯電話を取り出す!


「絢香ちゃん、

ガラケー!?」


ガラケー=携帯電話らしい……。

よく分からないけど……。


私は、取りあえず頷いた。


「ライン出来ね~な、

ま、仕方ね~か……。」


ライン?

線という英語の事?

流石に遥華も分からないようだわ……。


融さんは、

遥華の携帯に、

自分のデーターを

登録してくれた♪





この建物は、

鍵を出っぱりに近づけると、

開いてくれる自動施錠(オートロック)装置の鍵が、

部外者を浸入させないのね……。


私が中に入るのを

融さんは、

見送ってくた。


遥華が、

ぼんやりヘルパーさんの

ホソカワさんが、

ガラケーに

メールというモノを

打ち込んで、

送信している記憶から、

遥華の携帯を開いた。


融さんにメール(電子化した手紙)を送りたい……。

私は、電話帳から、

融さんのデーターを見つけた♪


融さん、ありがとう(*^_^*)絢香


と、書きたい……と思ったら、

勝手に文字が画面に打たれていた!?


今の若い娘の使う顔文字まで、

表示している!


送信!!





私は、

遥華の部屋に戻り、

ベットに腰かけた。


携帯が鳴り、

融さんからのお返事が届いた♪





今、コンビニんとこ。

また明日送るよ!

これから帰るから、

しばらくメール出来ない。

後でね(^^ゞ融





うん♪

ありがとう(*^_^*)

帰り道気を付けてね♪

融さんの帰りが、

心配だから、

家に着いたら、

知らせてね♪

私のせいで、

帰り時間、遅れるんだから、

お母さんとか、

心配してない?絢香




「あれ?

おばあちゃん!

いた!!」


お母さまぐらいの歳の女性が、

遥華を見たら、

慌てていた!!


「どちら様……?」


「おばあちゃん!

孫の嫁ですっ!!

何回言えば、

わかるのかしら!」


遥香ちゃんが、

代わってと言うので、

私は、遥香ちゃんの身体から出た。


「ごめんなさいね~。

頭がボケてわからなくなってしまって……。」


遥華がにこにこ答える。





60~70代のごま塩みたいな白髪混じりの

お婆さんが、

部屋にツカツカ入って来るなり、

怒りだした!!


「お義母さん、

どこ行っていたの?」


「絢香お姉さまと、

お散歩してきた。」


「絢香お姉さま?

お義母さん、

絢香さんは、

とっくに亡くなられました!!」


このお婆さんは、

遥華の息子の嫁……?


仁王立ちで、

きっと写真立てを

指さす!!


「あちらは亡くなられた人の写真!!」


嫁の指さす先に、

お父様、

お母様のお写真と、

私の写真が、

写真立てに飾られていた……。


「そうそう♪

絢香お姉さま、

美人でしょ?」


にこにこ笑って、

遥華が答える。


「もう~。

人騒がせな!!」


皆が、遥華の部屋を出ていった。





「絢香お姉さま、

さっきのお方、

ハンサムね♪」


私の隣に、

もう一人、

遥華がいた!!


セーラー服に、

前髪をピンで止め、

みつあみのおさげだ!


私ぐらいの年格好で、

おばあちゃんではない!?


「遥華ちゃん!?

どうして?」


「あっちのおばあちゃんは、

生きている私。

こっちの私は、

脳細胞とかが、

沢山死んでしまって、

出来た私♪」


「生きている遥華ちゃんが、

亡くなったりしたら……。」


「私と一緒になるわ!!

まだ生きているので、

私が死んでゆく細胞とかに宿っていた遥華で、

私たちが死んでゆくから、

身体に残って生きている遥華は、

あんな風にボケてしまったのよね~。

だから、息子や孫と、その嫁たち、曾孫まで迷惑かけているの!」


「そうだったの!」


遥華も半分あの世への境に来ているのね……。






「で、お姉さま、

あの融さんって、

どうしたの?」


「街灯の下で、

女学校に出かけるお友だちをいつも待っていたら、

私のハンカチを拾ってくださった方が、

ちょうど、

融さんそっくりで、

まるであの方がいらしたみたいなのですの♪」


「え?

イヤだわ、

お姉さま、

そんな方がいらしたなんて♪」


「ハンカチがきっかけで、

毎朝会釈交わすようになって、

あの方、

私に、つけ文してくださって……。」


女学生の恋愛話みたいに、

私たち二人は盛り上がっていた♪


「そのハンカチの方と、

お付き合いなさったの?」


急に私は、

涙が溢れてきた……。


「お返事、

出来なかったの……。」

「え?」


「地震がおきて……。

私は、死んだの……。」


遥華は、私に寄り添い、

背中をやさしくさすってくれた。


そのまま私は、

大泣きしていた……。

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