第26話 ライバル
右京と水沼が付き合いはじめて、俺と高木の距離も急に縮まった気がする。
学祭2日め、告白してきたある女子に、水沼と付き合ってるからと断った右京。
ものすごいスピードで学校じゅうに広まって、あっという間に注目の二人になった。
がっかりする女子や、苛立つ女子。
さらに振替休日のデート目撃談も加わり噂は一気に盛り上がった。
高木は、水沼が誰かに嫌がらせされないかと心配したが、もともと気持ちのいい水沼の性格と、思いきり彼女を守る右京の姿に、羨望の眼差しが向けられるまでになった。
俺と高木の一緒の時間が増えたこと、こいつに少し感謝しようかな。隣で騒ぐ右京にそう思った。
俺たちも付き合ってるんじゃないかと噂になっているのも知っていた。
否定なんかしなくていい。
もうすぐ本当にするつもりだから。
毎日毎日加速する彼女への気持ちは、もはや一人で抱えきれない。
それに、堂々と寄り添う目の前の二人を羨ましく思う自分にもとっくに気がついていたから。
テスト期間、最終日。
解放され賑わう下駄箱。
約束なんてしてないのに、自然と四人が集まって歩き出す。
「どっか寄ってかねぇ?」
大きく伸びをしながら言った右京の提案に、俺も、高木も水沼も強く頷いた。
「「千草ちゃん!!」」
ちょうど校門を抜けようとした時、真後ろから聞こえたその声に、高木だけでなく、俺も水沼も、右京でさえも振り向いた。
背は俺より少し低いが、最近の女子に受けそうな派手な顔立ち。
茶に染めて、パーマがかった長めの髪。
制服のネクタイを緩めて、そこに立っていたそいつ。
『あ、こいつ』
俺はそいつが誰か知っている。
だが、高木は知っているのだろうか、
疑問に思って横を向く。
案の定、きょとんとする高木。
水沼も、分からないといった顔つきで首をかしげている。
すると、そいつがまた続けた。
「俺も、そのイケメン兄弟と一緒に引っ越してきてたんだけど、千草ちゃん全然気が付かないんだもん」
――ん?何言ってんだ、森口。
そう、こいつは森口翔。
前に津田から聞いた『高木に告白するかもしれない奴』だ。
気になってどいつが森口なのか聞いた日があったけれど、一目見て、高木とどうこうなるようなタイプじゃないと勝手に判断したんだ。
高木だって、困ってるに違いない。
戸惑ってるだろ。そう言おうとしたその時だった。
「も、もしかして、そ、園田くん?」
そう驚く高木。
その言葉に驚く水沼。
そして、園田と呼ばれて嬉しそうに笑う森口。
その瞬間、その3人の間に知らない空気が流れる。俺と高木との間にラインが1本引かれたみたいな気分になった。
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