以前に、『はぐれていく』にも、レビューしましたが、ともかく、勢いと情熱とスピード感で書き飛ばして書かれた、前の作品『はぐれていく』の続きであるにも関わらず、いつの間にか、文学的に研ぎ澄まされた作品にまでに、生まれ変わっていた。特に、田舎に帰ってからの、主人公の心の変遷が、凄く分かり易く書かれています。『はぐれていく』と続けて読んで頂きたい、自伝的小説の「傑作」です。一度は、お読み下さい。何か、得るものがあると、思います。
二十年ぶりに故郷へ戻った主人公が、過去の後悔や変わりゆく町の姿と向き合う様子が、静かに胸に響きました。成功した同級生との再会や、父の介護を担ってきた妹との確執には、人生の厳しさと人間関係の複雑さが感じられます。特に、簡単には過去を清算できない現実が印象的でした。それでも、最後に「まあ、悪くないな」と呟いて歩き出す姿には、ささやかな希望が宿っています。生きることの難しさと尊さを考えさせられる作品でした。
もっと見る