概要
夫の妻に「泥棒猫」と罵られた。でも、私だってずっと妻のつもりだった
霧浜市の火鍋専門店でアルバイトをしていた夜のことだ。
食べ終わった客の鍋を厨房へ運んでいると、通路の脇から男の子が飛び出してきた。避ける間もなくぶつかられ、トレーが大きく傾く。熱い麻辣スープが両腕にかかり、私はその場に尻もちをついた。
あまりの熱さに息が詰まり、声も出なかった。
男の子の母親が慌てて駆け寄ってきた。
「ごめんなさい! この子が急に走り出して……。大丈夫ですか? 腕、見せてもらえますか?」
同僚がすでに119番へ電話していた。女性は私のそばにしゃがみ込み、腕の状態を確かめると、近くに家族がいるかと尋ねた。
「治療費はこちらで負担します。霧浜にご家族はいらっしゃいますか? 付き添える方がいなければ、こちらで手配しますから」
征也の顔が浮かんだ。
夫
ギフトありがとうございます!とても励みになります。これからも面白い物語をお届けします!
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