十年前、「私」は寺を継ぐか声優を目指すか迷い、寺を継ぐことを選択した。しかし両親は急死、寺にはさまざまな問題があり、これからどうすべきかと迷ってしまう。そんな中、自分の字で書かれた不思議な手紙が出現して……。
人間は、生きていく中で多くの選択をする。
ちょっとしたことから、後の人生に大きく関わることまで、さまざまだ。
そんな中で誰もが、選ばなかった「もう一つの選択」をしていたらどうなったのだろうか、と思ったことがあるのではないか。
本作には、「私」が選ばなかった道を選んだ「俺」が登場する。
どんな生き方を選んだって、辛いこと、苦しいことはあるだろう。
だが、自分の頭で考えて選び抜いた道を行くのならば、それこそが行くべき道ではないだろうか。
「俺」とのやり取りの果てに、「私」はどんな道を選ぶのか。
希望を与えてくれる物語、おすすめです!
これは、可能であるなら一度は経験してみたい。そんな「夢」を感じさせられました。
主人公は「故郷」の寺を継ぐという、ある意味で地味な人生を送っていた。でもかつては都会に出て声優を目指すという夢を送っていた。
そんな折に、「対」と名乗る人物から手紙が届く。
その相手は「声優を目指していたIFの世界」に住む人間で、もしもかつて声優を目指していたらどんな人生を送っていたか、ということが手紙の中で語られることになる。
故郷に残った自分。夢を追うことを選んだ自分。
どちらにも充実したものはあるだろうし、一方で後悔しそうな部分もある。互いの人生を見比べることで、自分の今後はどうあるべきかを考えさせられる。
「あの時、ああしていれば」、「もっと違う選択をしていれば」
ある程度の年齢を重ねていくと、そう思うことは度々あります。
「地道に生きて、結婚してあたたかい家庭を築く」のも幸せなら、「夢のために全てを費やし、ひたすら特別な道を目指してみる」のもまた幸せ。
どちらか片方で満足できそうなものだけれど、やっぱり「選ばなかった幸せ」への未練も捨てきれない。
もしも、こんな風に「パラレルな自分」と対話できたなら。そいつは今頃幸せでいるだろうか。今の自分の人生に、どれくらいの満足を得られるだろうか。
人生で何度か想像してしまう「IF」と向き合う姿に深く共感させられ、その上で前向きな気持ちにもさせてくれる、とても素敵な作品でした。