かつて1億人以上が暮らした人工惑星に、最後の一人だけが残っている。その設定だけでも寂しいのに、前日に伴侶を亡くした語り手が、それでも宇宙へ手紙を送ろうとする姿が胸に残る。特に印象的なのは、滅亡の原因を解明できないまま、自分たちの遺伝子情報を未来へ託すところ。ここで生まれなかった子供たちが、別の世界なら幸せに生きられるかもしれない。そんな願いには、絶望の中にも消えない人間らしさがある。手紙が届く保証はなく、語り手が救われるわけでもない。それでも最後に読者へ幸運を願う言葉が、遠い宇宙から届いた本物の遺言のように感じられる。
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