二十年来の幼なじみが、蛇に噛まれた自分を置いて、手を擦りむいた別の男を優先する。ここから始まるのは、愛情だと思っていたものが少しずつ崩れていく物語です。かつて自分の苦手なセロリを引き受けてくれた彼女が、今は平然と自分の皿に移す。その小さな変化が、救急ポーチを持ち去る行為と重なったとき、積み重ねてきた年月の重さが胸に刺さります。裏切りの決定打だけでなく、日常の些細な違和感にも注目して読み進めたくなる一作です。