概要
消えたのは、献立。消えなかったのは、あの日の味。
函館の学校給食で長く愛されながら、いつしか献立から姿を消した幻のメニュー「クローヨ」。その一皿をめぐる記憶をたどると、そこには子どもたちの笑顔、夜明け前から鍋を囲んだ調理員の誇り、献立を守り続けた栄養教諭の願い、そして四十五年の時を経て語り継がれる家族のぬくもりがあった。本作は、函館だけに息づいた給食文化を題材に、「食べる」という何気ない日常が、人の心にどれほど深く残るのかを静かな筆致で描くドキュメンタリー風小説である。甘酸っぱい一皿の向こうにあるのは、料理ではなく、人と人を結ぶ記憶の物語。読後、あなたの心にも、懐かしい給食の時間がそっとよみがえる。
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