虎口の追憶11〜雪乞いの島〜

ミフネフミ

はじめに

まずは拙作『虎口の追憶11〜雪乞いの島〜』にお越しいただき、ありがとうございます。


本作は、連作短編『虎口の追憶』シリーズ第11話として書き下ろした作品です。


第10話までのあらすじを、以下に簡単にまとめています。本編を読む前にご覧いただくと、より読みやすいかと思います。


「第1〜10話」


宝探し屋・庚寅左門は、軍の横流し現場から黄金像を奪い、逃亡先の村で疫病と季節外れの「真夏の雪」に遭遇する。医術者・水神楽アサヲと護衛の乾藤丸は、病と雪の関係を調査。左門も「七つの与太話」を宝の地図として追い、長寿の茶、安楽の酒、三つ首のオロチ、毒雪の村を巡る。各地の怪異から、病を治す薬雪の奇妙な作用と、軍が伝承や奇病を集めている事実が浮かび上がる。


やがて軍研究所から元水神楽の虬修一が黄金像を持って逃亡。左門は藤丸と衝突するが、像を報酬に修一の護衛を引き受ける。禄風・福雨・寿霧ら追手との激闘を経て、アサヲと憲兵少尉・小女子太一の助力もあり修一を保護。左門は念願の黄金像を手にする。


その後、左門は水神楽・華神楽・土神楽が集まる年会で、アサヲと水神楽当主・玄庵の護衛を務める。年会では薬雪に関する調査や血液製剤の研究が報告されるが、華神楽当主センの毒殺事件が発生。左門の推理で息子・千代之介の犯行が暴かれ、妹カツが新たな当主となる。さらに華神楽の研究に戊辰直江が関わっていたことも明らかになる。


【本話のハイライト】


舞が終わり、間を置いて天鼓が鳴り、その後に雪が降った。


時刻を確かめ、社へ目を戻す。


祈祷師が柱に寄りかかっていた。


一歩踏み出そうとして、膝をつく。


「祈祷師様!」


アサヲが駆け寄り、老人の手首を取った。


「大丈夫ですか?」


「……少し、疲れただけじゃ」


掠れた声だった。


「今の雪は、あなたが降らせたんですか?」


「わしは……舞っただけじゃ。降るかどうかは、わしにも分からん」


「以前にも?」


「ああ。昔、島で病が流行った時にもな」


「どんな病気です?」


「喉の病じゃ。熱が出て、息が苦しくなる者もおった」


「その時も雪乞いを?」


「雪が降って……皆が助かった」


老人は小さく頷いた。


「だから今回も、村の者たちに……」


(本編第四節より抜粋)

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