しんみりとした物悲しい童話のような語り口でありながら、どこか違和感が見え隠れするような独特の雰囲気に、最後まで読まされました。
これがまた巧妙で、違和感の歯車が最後にガチっとはまるような感じがして実にお見事です。
そう、荒涼としたスクラップの掃き溜めに、いのちなんざあるわけがないんですよねぇ。
話の構成ももちろんなのですが、湧き上がる鉄錆だらけの情景もまたお見事です。
広大な鉄屑の山に、スッと聳える二機のクレーン。
それを見上げる老人がぽつぽつと語る昔話。
どこかノスタルジーも感じられて、なんとも風情があります。
だからこそ、最後に全て持っていく構成の妙が光るというものです。
物悲しい世界のクレーンが動くとき、命なき鉄骨ヶ原に響く音。
それは機械が軋む音か、あるいは……。
鉄錆だらけの広大な掃き溜めに浮かぶ夕日を思い浮かべながら、ぜひ本作をお楽しみください。