第一話を読みました。面白かったのでレビューを書かせてもらいます。
最初からかなり切ない始まり方でした。ゲームの中で聖女アリアが一度は命を落としながら、精霊の力によって生き返り、大切な人と結ばれる結末を見届けた綾。その直後に、自分自身が難病と闘っている現実へ戻される構成が印象的です。ゲームの中では仲間を救うために最善の手を選べるのに、現実の病気だけはどうにもできないという対比が、綾の「生きたい」という願いをより強く感じさせました。
特に、手術の直前に「もう一度、弓を引きたい」「もう一度、自分の足で射場に立ちたい」と願う場面が良かったです。全国大会で優勝するほど弓道に打ち込んできた少女だからこそ、失ったものの大きさが伝わります。それでも最後まで諦めきれず、生きることを願ったところに、この物語の主人公としての芯があるように感じました。
そして転生後のミルロが、単純に恵まれた第二の人生を始めるわけではないところも面白いです。精霊と契約できた喜びの直後に、自分がゲーム内では命を落とす端役だったと知る。この世界を知っていることは大きな武器ですが、同時に自分の未来まで知ってしまっているという厄介さがあります。
雪と氷を司る精霊ユキメとの契約も、これからの展開を期待させてくれます。前世では弓を武器に戦っていた綾が、今度は精霊の力を得てどんな道を選ぶのか。そして、ゲームで決められていたミルロの運命を変えることができるのか。
一度は生きたいと願いながら命を失った少女が、二度目の人生で今度こそ自分の未来を掴もうとする物語。その始まりとして、とても引き込まれる第一話でした。