木が怖い。
そんな告白から始まる、ひとりの人間の思考に、いつの間にか引きずり込まれていました。
痛み、記憶、怒り、日々の細部。次から次へと溢れる言葉には、息継ぎを忘れてしまいそうなほどの密度があります。
理解したいと思うのに、すべてには頷けない。それでも、簡単に目を逸らすことができない。
読んでいるうちに、誰かを理解することと、誰かを正しいと思うことの境目さえ、曖昧になっていくようでした。
決して心地よいばかりの読書ではありません。
けれど、この文章でしか触れられないものが確かにある。読み終えた後も、あの木の姿が頭から離れませんでした。