第4話「自分勝手」
「久しぶりだな!ヤンチャ坊主!」
この人には、だいぶ優しくしてもらった。俺は「ご無沙汰してます!」と頭を下げた。
「いいんだよ。そんな堅くならなくても。ハムカツ食べるか?」
「いただきます。」
「ほら、彼女さんも。おいで。」
おじさんは、両手で二つのハムカツを手渡した。少し白髪頭になっているけど、半袖から見える力強そうな腕は、変わらない。俺は代金を払うが、おじさんは断った。
「いいよいいよ。君には色々やってもらったからな。実演販売とか。この店が今も儲かってるのも、君のおかげだからさ。」
「恐縮です。」
「だから、いいって。わざわざ礼儀正しくしなくても。」
おじさんは、そう言って笑った。
ハムカツを食べた後、俺たちは、商店街を歩きながら話の続きをした。
「こう言うと手前味噌になっちゃうけど、あの後、迷惑かけてきた人たちに謝ってさ。店の手伝いもした。」
「許してもらうためにですか?」
「さあねぇ。俺は、迷惑かけた分人に良いことをしたい。どっちにしろ、誰かに求められてないのに、自分勝手にやったことだけどな。」
ミキタカは「そうですか」と言いながらも、何か疑問のありそうな顔をしていた。俺は「どうした?」と聞いた。
「あなたの考えは、良い行いです。しかし、良いことを積み重ねれば、過去の悪事が消されるとは限りません。あなたは私たちが生きる時代を否定していますが、こういう被害があるから、その時代ができたと私は思うのです。悪いことをしても得をする人と、真面目に生きても損をする人がいるから。それを踏まえて、あなたは、どうして私たちが生きる時代を否定なさるのですか?」
「場所を変えよう。」
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