第4話 本部長室での全面対決

「おい鳴海! お前の部下の野上はどういう教育を受けてるんだ! 独断で潜入捜査などという

大失態を犯し、元国家公安委員長の顔に泥を塗りおって!」


 豪奢な本部長室。机を激しく叩いて怒鳴り散らす上条本部長の横で、野上の直属の上司である鳴海警部が苦渋の表情で頭を下げていた。


「本部長、申し訳ありません。ですが野上は、消去されていた決定的なひき逃げの証拠を──」

「黙れ鳴海! 証拠の有無など関係ない! 警察の面目を丸潰れにした規律違反だと言っているんだ!」


 保身しか頭にない白髪の老人の醜い怒声を、私は一歩後ろで冷徹な目で睨みつけていた。

「おい、野上巡査部長。何か弁明はあるか。これ以上の反抗的な態度は、免職処分も辞さないぞ」


 上条本部長が、虫ケラでも見るような目で私を見下ろしてくる。

「……面目? 規律?」

 私はゆっくりと一歩前に出ると、

上条本部長の机を真っ直ぐに見据えた。

「一人の尊い命が奪われたんですよ。

身内の保身のために、被害者の遺族の涙を踏みにじるのが、あんたたちの言う『警察の面目』ですか!」


「野上、口を慎め!」鳴海警部が焦ったように私を遮ろうとする。

「いいえ、慎みません。──こんな腐りきった組織のバッジなんて、こっちから願い下げです!」


 ゴンッ!!

 私はポケットから警察手帳を掴み出すと、驚愕する上条本部長の顔のすぐ目の前、署長机の真ん中へと力強く叩きつけた。


「私は私のやり方で、守りたい人を守ります。──お世話になりました!」


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