概要
僕のスキルは〈帰り道〉。進めないけど、全員連れて帰る。
十年前、世界にダンジョンが現れた。高校二年の日下部渚のスキルは〈帰り道〉——どこにいても、出口までの道だけが光って見える。戦えない、運べない、先にも進めない。F判定の荷物持ちとして探索者クランを追い出されたその日の夜、一通の依頼が届く。差出人は、登録者百万人の狐面の剣士〈夜狐〉。一緒に潜った帰り道、彼女が面を外すと、そこにいたのは教室で一度も口をきいたことのない、隣の席の氷室ほたるだった。「あなたの〈帰り道〉が欲しいの。……深層で消えた、兄を連れて帰るために」