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概要
その口説き文句、書いたのは私なんですケド
婚礼の夜、冷徹公爵は寝台ではなく、分厚い恋愛小説を開いた。赤い付箋が、びっしり貼ってある。
「妻を喜ばせたい。まず、手に口づけをしても?」
「……その章は飛ばしてください」
二十二歳の伯爵令嬢ヨゼフィーネには、秘密がある。世間を騒がせている甘い恋愛小説の作者は、彼女なのだ。結婚したら執筆をやめろという実家から逃れるため、互いの仕事に口を出さず、夫婦の義務を求めない結婚を選んだ。相手は、女性を笑顔にしたことがないと噂される公爵ディートマル。ところが彼は、匿名の著者を心から尊敬していた。
翌朝は花束。翌々日は二人きりの遠乗り。どれも自分で書いた場面だから、次に何が来るか分かってしまう。修正原稿に控えめな恋人を書けば、夫は「気遣いが足りなかった」と反省する。違います。悪いのは、照れて逃げてい
「妻を喜ばせたい。まず、手に口づけをしても?」
「……その章は飛ばしてください」
二十二歳の伯爵令嬢ヨゼフィーネには、秘密がある。世間を騒がせている甘い恋愛小説の作者は、彼女なのだ。結婚したら執筆をやめろという実家から逃れるため、互いの仕事に口を出さず、夫婦の義務を求めない結婚を選んだ。相手は、女性を笑顔にしたことがないと噂される公爵ディートマル。ところが彼は、匿名の著者を心から尊敬していた。
翌朝は花束。翌々日は二人きりの遠乗り。どれも自分で書いた場面だから、次に何が来るか分かってしまう。修正原稿に控えめな恋人を書けば、夫は「気遣いが足りなかった」と反省する。違います。悪いのは、照れて逃げてい
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