大手術をした男が、待合室で見かけた女性と会話を交わすという内容の掌編。
「待ってるんです」という女の言葉が印象に残る。
現代人は、世の中の全ての事象に正解がある、自分から動き出せば世界は変わるなど
ポジティブさの皮を被ったとてつもない傲慢さに浸りきっている。
だが、往々にして我々は、生き死になど大切なことを自分の力では動かせない。
ただ「待つ」ことしかできない無力な存在でもあると思い知らされる。
じわじわと怖いのと同時に、まあそういうこともあるか……という
奇妙な納得感もある、味わい深い話だった。
人それぞれ思う所は違うだろうから、自分の好みかどうかとか考える前に読んでみて欲しい一編だ。