小説という形で言葉を紡いでみようと思ったとき、自分の中で「長編」「中編」「短編」の3つを表現してみたいと考えていました。
ガジェットと時間を巡る中編『1996.0 渋谷マッキントッシュ』、人との繋がりを掘り下げた長編『En-Ishi 〜縁〜』。
この二作に続き、最後に投稿したのが、短編の『薄墨色の空』です。
本作は、一九九四年のあの夏、実際に松本の街で息を潜めていた私自身の原体験が着想点になっています。連日メディアから流れる容赦のない論調や、少年の目に映った報道のあり方は、当時の私の記憶をできる限り如実に再現しました。
書き終えたいま思うのは「人間の狂騒は、今も昔も驚くほど変わらない」という奇妙な諦念と、かすかな希望です。
情報の濁流に呑み込まれそうな現代に、何が『事実』なのかを曇りなき眼(まなこ)で見極める力――。それは、これからを生きる子どもたちはもちろん、私たち大人も、日々背中で示し、磨き続けなければならないものだと感じています。
これにて当初予定していた3作品の投稿をすべて終えることができました。
次回作は、もう少し肩の力を抜いて読める、ライトな中編小説をお届けできればと考えています。
――と、その前に。8月1日・2日に「中小企業診断士試験」という大きな壁が控えているため、しばらくの間はペンをインプットの道具に持ち替え、執筆活動はお休みいたします。
ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。