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『白み始めた神話たち』【全員集合】【ぱちぱちさんたちの 花火大会】

 「きれいー」
 「きれいですね」
 「きれいだな」
 「カラフルだな」
 「射的屋を」
 「店じまいさせてしまいました」


 1人。


 感想がおかしいが。
 確かに。
 全ての射的屋を。
 制覇して。


 「WINNER!」


 叫び。
 戦利品がもちきれないと。
 5人で手分けをしながら。
 花火大会に。


 花火大会のはず。
 花火大会ならば。


 花火大会。



 ──花火大会です。

 
 よくわからないが。
 花火大会にきて。
 端から端まで。
 屋台に目を輝かせ。
 イカ焼きうまうまと。
 お財布悲しいと。
 はしゃぐ。
 金色の髪の彼と。
 赤茶の髪の彼と。


 「適時」
 「水分補給を忘れません」
 「忘れません」
 「タブレットは?」
 「食べました!」
 「嘘ですね?」


 紫色の彼の言葉を。
 復唱している。
 赤茶の青年と。
 金色の青年は。

 

 色々な意味で。
 目立つ。
 


 双方の頬をわしずかみ。
 口に。
 塩タブレットと。
 水分補給を。
 突っ込みながら。

 やりきったと。
 いい笑顔をする。
 紫色の彼は。



 ──目立っている。
 

 まあ。
 目立つだろう。


 奥様。
 近隣の学校。
 同じ学校の。
 生徒に。
 ムシムシ大会や。
 弓道大会で。
 仲良くなった。
 小学生。
 老若男女を問わず。
 次から次に。
 声をかけられ。


 声をかけたい。
 初見の方々は。
 チラチラと。
 様子をうかがっては。


 琥珀色の髪の美女が。
 華麗に。
 5、6人の。
 大学生らしき存在が。
 縦一列に並び。
 正座をして。
 地に伏している姿に。

 その。
 青色の眼が。
 氷のように。
 冷ややかな。
 一瞥を。
 した瞬間に。
 反射で。
 ダッシュで逃げてしまう。


 黒髪の。
 可愛らしい子は。

 「えっと」
 「アウトですね」 
 
 声を。
 かけてきた相手に。
 あいさつを。
 返そうとしては。
 琥珀色の髪の美女が。
 言い切り。


 「こんばんは!」
 「こんばんは」
 「お嬢ちゃんは」
 「弓道大会に出ていた」
 「可愛い子だね」
 「あめちゃんをあげようね」
 
 良き存在を。
 てきかくに見破り。
 頷く。
 青色の眼が。


 ──いや、ほんと。
 ──まじこわいんや。



 紫色の彼が。
 光をなくした目で。
 すっごい遠くから。
 見ているし。


 金色の彼も。
 赤茶の彼も。
 ストローをくわえながら。
 目から。
 光をなくすの。
 やめたげて。


 いや。
 待って。
 2人で飲むスタイルのやつ。
 絶滅危惧どころか。
 なんか光ってね?



 進化しとるがな!



 「すげえな花火大会」
 「いや、凄えよ花火大会」
 「花火大会は」
 「いつから枕詞になったん?」

 誰か。
 ツッコミを。
 たくさん。
 連れてきて。




 追いつかんのんじゃ!




 金色の彼が。
 購入して。
 赤茶の彼が。
 爆笑していた。
 人混みが。
 かきけしても。


 「花火大会よき大会」
 「花火大会新しい発見」
 「待って」
 「うちの学校」
 「教師も壊れてんのに」


 物理を。
 物理的に。
 解決させる猛者が2名。


 滑車問題も。
 新しい機器を導入すれば。
 問題ないと。

 教師を。
 連行して。


 滑車つくった!
 会社を買収しました。


 もうお前ら嫌い!


 号泣させた。

 うちの社長に。
 文句あんのかと。
 囲まれたら。



 そら、泣くわ。

 

 「いや、2学期も」
 「楽しみだなをい」
 「楽しんでんじゃねーかをい」



 「愉快なことは」
 「全力で乗っかったもん勝ちだからな」


 
 生徒たちも。
 だいぶん。
 毒されてしまったことを。
 教師たちは。 
 まだ、知らない──。





 「何買ったん?」
 「2人で飲める用ジュース」 
 「誰と?」
 「わからんが」
 「気がついたら買っていた」
 「おれには視える」
 「お前が」
 「アッパーされる未来が」


 2人は。
 シュワシュワと。
 音を立てる。
 氷が半分以上を占める。
 物価高えぐい。
 自販機で買えよ。
 炭酸ぬけてないジュースを。
 と言いたいジュースを前に。
 


 「一緒に飲むか」
 「オレンジなら」
 「オレンジの炭酸か?」
 「微妙にぬけたやつ」
 「微妙か?」
 「わりとだな」
 「祭りあるあるだな」
 「そして可愛くないお値段」


 2人で。
 ジュースに。
 ストローをさして。
 飲むやつを。
 金色の彼と。
 赤茶の彼は。
 飲みながら。

 紫色の彼が。
 激写して。
 周囲も。
 さりげなく激写していた。
 

 「あいつらは」
 「お笑い担当なん?」
 「いや、想像で」
 「一緒に飲めたらいいなあと」
 「思いたかっただけだな」
 

 誰とは。
 言わない。



 「なんか涙でてきた」
 「悲しいなをい」
 「一生無理じゃね?」
 「やめろ!」
 「夢は自由じゃ!」
 

 同じ学校の生徒と。
 違う学校の生徒が。
 意気投合する。



 「絶対に」
 「琥珀の髪の美女が」
 「許さんだろ」
 「蹴りくらうか」
 「セミ祭りの刑」



 初耳の単語に。
 なにそれと。
 聞こうとしたら。


 「震えとるがな」
 「こわっ!」


 互いを抱きしめて。
 震えていた。



 セミ祭り。
 こわい!



 「いや、軒並み射的屋が」  
 「真っ白になって」
 「項垂れてたから」
 「まさかとは思ったが」
 「やらかしたんか」

 紫色の。
 常識が1番ありそうなのに。
 よく壊れる。
 精密機器みたいな彼。

 「たたいたら」
 「よけい壊れるぞ」
 「間違いだからなあ」
 「いや」
 「今回は」
 「やらかした側じゃね?」


 「それな」
 「琥珀の髪の美女と」
 「黒髪の可愛い子も」
 「やらかしたんや」


 3人で。
 的確に。
 コンボしたら。
 1番高い。
 絶対に裏に支えがあるよね。



 昔から。 
 ならば。
 壊さねばな!


 と。



 ゲーム機や。
 プレミアがついたカード。
 フィギュアまで。
 粉砕する勢いで。
 弾が。
 飛び出したから。



 「店側が」
 「びっくりしとったがな」
 「200キロは出てたな」
 「普通はでない」
 「あやつらが」
 「普通だったことあったか?」
 「ないな」




 ──速度は。
 ──リニアくらいですよ。
 



 幻聴が。
 確かに。
 聞こえた。




 紫色の彼は。
 赤茶の彼と。
 金色の彼が。



 仲良くピースをして。
 写真撮影に応じている姿を。
 綿菓子を食べながら。
 

 昔は。
 竹筒だったのですから。

 間違いました。
 ペットボトルが。
 できたときの。
 衝撃は忘れられな…。
 違います。

 あれはまだ。
 貝塚、違いましたね。
 なんでもありませんよ。

 アルミの皿に。
 クジラ肉をもりつ…違います。
 ミルメークが出たとき。
 なんでもないです。



 なんか。
 やっぱり。



 怖っ!



 独り言を。
 聞いた学生たちは。
 なにも。
 聞かなかったことにして。
 
 小学生たちに。
 景品をわけている。
 紫色の彼を。
 観察する。


 「あのお兄さん方を」
 「ご贔屓に」

 「任せておにいちゃん!」

 「号泣ばっかする」
 「号泣にいちゃんと」

 「算数で」
 「7✕3を」
 「27と答えた」
 「曇りなき眼のにいちゃん」

 「めんどうは」
 「しっかりみるぜ!」
 「明日は魚釣に」
 「誘うんだ!」


 「ありがとうございます」
 「ところで」
 「スタンプカードは」
 「たまたりましたか?」


 「まかせろ」
 「スタンプにいちゃん!」 
 「母ちゃんが」
 「率先して行くからな!」
 

 スタンプにいちゃん。


 それは。
 ラジオ体操を。
 6時30分に。
 庭に集合で。
 2週間継続したら。

 こどもたちには。
 たくさんの。
 お菓子とジュース。
 そして。 

 奥様方には。
 茶道教室。
 タダ券3枚という。



 親子揃ってお得な。
 夏の。
 紫色の彼が行う。
 風物詩。


 全員が。
 庭に入っても。
 ありあまる広さに。
 最初はひくが。
 慣れたなら。
 何なら。
 水やりまで自主的にやりだす。
 

 花火大会でも。
 目立つなというのは。
 無理な話だ。
 

 つまり。
 まあ。
 何も見なかった。
 聞かなかった。
 ことにして。
 立ち去るのが良し!




 夏のホラー。
 もう。
 お腹いっぱい。


 
 
 「花火はじまるよー」
 「2人で見ましょうか」
 「待って!」
 「すぐ行くからあ!」
 「あなた方は」
 「なんですぐ」
 「号泣するのですか」


 両脇に。
 青年を抱えて。
 花火を見るために。
 紫色の青年は。



 「来年は」
 「花火をつくりますか」



 つぶやいた。

 赤。
 青。
 緑。
 金色。
 紫色の。


 「どんな形にしますかね」


 仕掛け花火を。
 つくろうと。
 号泣している2人を。
 抱え直しながら。



 「花火はじまったー」
 「朝顔ー」
 「ハートー」
 「惑星ー」
 

 わあっと。
 歓声と。
 拍手が自然にあがる。


 「ラナの笑顔」

 「推しの笑顔、と」
 「あの、あれの笑顔も見れた」

 「なんでそこだけ」
 「ピュアなんですか?」

 「滅多なことを言うなよ!」
 「そうだぞ!」
 「おれから癒やしを奪うな!」



 「落とします」



 宣言してから。
 手を離した彼は。
 悪くないだろう。



 「うっ」
 「泣くな!」
 「次の登校日に」
 「セミのぬけがらをやるから」
 「登校日」
 「かぶってたろ?」
 「たくさんだぞ」
 「まかせろ」


 「わあ、ロシュがおにいさんだ」
 「あれは」
 「フラグですかね」
 「ティアー」
 「フラグってなにー?」
 「あなたには」
 「必要のないものですよ」
 

 小学生に。
 おにいちゃんと。
 呼ばれすぎて。

 頼もしい。
 ような。 

 まったく。
 そうでないような。



 「次の登校日前に」
 「まずは花火!」
 「花火師さん方に敬礼!」
 


 紫色の彼が。
 打ち上がる花火を前に。
 射的屋から。
 合法にせしめた。
 景品を担ぎながら。
 叫ぶ。



 「花火ー」
 「きれー」
 
 


           夏の夜に。
           打ち上がる花火を。
           眼が彩り。
           明日に繋ぐ想い。
           美しき大輪の華──。



    
      がやがやさんも。
      わいわいさんも。
      ひとまず。


           

            ゆっくりと。
            ぱちぱちしながら。
            おやすみなさい──。 
   
 

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