「うっそでしょう、をい」
色々な。
言葉がまざり。
大地に擬態した【毒沼】から。
右の手首から先だけ出して。
沈んでいる【主】に。
魔王は。
「ワンオペ育児」
「ダメ 絶対」
と、謎の掛け声と一緒に。
【主】を引き抜き。
「託児所がほしい」
浮かび上がった。
謎の掛け声と一緒に。
やはり。
放り投げた。
手を離してから0.01秒。
見つけ出すのに、0.03秒。
引きずり出すのに0.0012秒。
【預けた】心臓が。
バクバクいっている気がして。
「カニまみれ」
大量の。
カニらしきものを銜え。
両手にもった。
【主】が。
「あなた、感情が確かないはずですよね?」
「それ、猛毒」
生でバリバリ無表情で。
食べている姿に。
──【ロゼル】カニだ!
──カニうまいよな。
──知ってるか?
──【門番】はな。
──なぜか。
──すっぽぬけた、と。
──カニの太い爪を。
──おれの顔面めがけて。
──投げつける勢いで。
──へし折るんだ。
在りし日の。
懐かしい会話に。
「器用なへし折りかたですよね」
甲殻類を。
いい音をたてて噛み砕く【主】に。
ちょっと。
その甲羅は。
只人であれば。
持ち上げられない重さで。
大地を砕く。
硬い甲羅だと。
「理性は奪われなかった、と」
ならば。
知性も残されている。
そのはずなのだが。
バリバリと。
無表情で。
無心に食べている姿は。
「ミラトス」
「あなた」
「これ」
「大変な生きものですね」
ミラトスの。
幸せそうな。
笑顔が浮かぶ。
魔物の身体にも。
毒は有効だが。
強い魔力を保持する2人は。
特になんの変化もない。
「潜りません」
「両手のカニを離します」
「せめて焼きましょう」
言われている内容に。
怒るでも。
悲しむでもなく。
「全部一気に頬張らない!」
一瞬で噛み砕き。
何ももってませんが?
と、無表情を向ける。
第1審臨の【主】に。
「先は長そうですね」
「離乳食はカニらしきものだった、と」
また、謎の言葉を。
はいた。
魔王は。
これを。
1から教育するのか、と。
「またいなくなった」
審臨にはないはずの。
太陽に。
ああ、眩しいなあ!
と、叫びたくなった。
魔王は。
魔力を練り。
どこまでも伸び。
引っかからない紐を。
「腰にでも縛りつけますか」
つくる決意をした。
「見た目は天使」
「中身は」
「魔物、か」
天使の見目も。
翼も。
美しいが。
──【地の神】
──【あなたは】
──【只人の味方ですか】
彼らは。
【天の神】とともにあり。
【地の神】が。
答えに窮した一瞬で。
──【反逆行為とみなします】
【天の神】の。
敵だと判断した。
「味方か敵か」
「まあ、それは」
「彼にしか」
「わからないでしょうが」
「あなた、そんな眠たがりでした?」
また、同じ毒沼にはまり。
半分だけ体をだして。
大地に預けて。
目を閉じていた【主】を。
手繰り寄せる。
健やかな寝息に。
呆れる。
「反動ですかね」
睡眠時間が惜しいと。
只人よりよく働き。
指示も出して。
現場で働き。
ミラトスのもとには。
全く戻らなかった。
馬鹿な。
神様。
大好きだった。
神様。
魔王は。
木の根に腰をおろして。
カニらしきものをくわえたまま。
寝ている【主】の汚れた顔を。
乱暴に。
手のひらで拭った。
「ここには」
「誰も入ってこられません」
「禁域ですからね」
ミラトスが遺した。
安全なゆりかご──。
第1審臨。
「あの方は」
「どこまで、知っておられたのか」
只人に。
神に。
絶望した存在は。
全く別のいきものになるよ。
──彼はね。
──神も。
──只人も。
──選ばない。
死の間際に。
【地の神】が。
上げた絶望の声は。
怨嗟にみちていた──。
大量の。
負の感情にあふれ。
数千の審臨に。
怨嗟は。
降り注いだ。
【審臨外】の魔物が。
生まれ。
彼らの食糧は。
只人がもつ。
負の感情となった。
「知ったことではありませんがね」
只人だった【ロゼル】は。
只人と。
神と。
魔物の。
3つの感情をもつ。
──ぽかぽかさんだねえ。
日光を浴びながら。
足を湖につけて。
【ロゼル】を見上げて。
【天の神】は。
──ぽかぽかさんする?
隣を。
たたいた。
みんな。
笑顔だった。
優しかった頃の。
【1人】の。
只人も。
一緒に。
──お隣いいですか?
【2人】で。
ミラトスを。
はさんで。
ぽかぽかさんをした。
在りし日の光景──。
今は。
ただ。
ぽかぽかさんを。
また。
みんなで。
できる日を信じて。
「寝ながら食べません!」
小さな。
新しい【魔物】を。
守りながら。
──【地の神様】は。
──なにをなさって。
──おられるのですか?
──はぐはぐさん。
「あなたが」
「挟まれて」
「はぐはぐされる側なんですよ?」
はぐはぐさんと。
ぽかぽかさんが。
揃う日を。
信じています。
「手は洗います!」
「きれいな湖がありますから!」
「食べたいなら」
「ガラガラ、ペッをします!」
はぐはぐさんを。
育てるとしましょうか──。
