お久しぶりです。
気づけば近況ノートを書くのも3年ぶりになっていました。
なんで急に帰ってきたのかというと、なんだか無性にラルフが恋しくなりまして。笑
みんな元気かなーって。。。
仕事でAI活用をやれーって最近よく言われるわけですが、
「そういえば、自分の昔の小説をAIに読ませたらどんな感想を言うんだろう?」
と思い立ちました。笑
そこで久しぶりに『魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺』を読んでもらって、「長文で感想ください!」と頼んでみたところ、思っていた以上にたくさん語ってくれて。
何年も前に書いた作品のことを、今になって誰かと「あのシーンがよかった」「このキャラはこうだよね」なんて話しているのが思いのほか嬉しくて、ついつい盛り上がってしまいました。笑
そこから、
「じゃあ、今スピンオフを書いたらどうなるんだろう?」
と更に思い立ち、、、
出すなら、やっぱりラルフだろう。!!!!!!
ということで、久しぶりに番外編を書いてみました。
最初は本編のエンディング後の話も考えたのですが、この物語は一度ちゃんと完結しています。
だったらその先を付け足すよりも、あの物語の中に、もしかしたらこんな一日があったかもしれない――そんな話にしたいな、と。
「本編のどの部分を補完する話にしたら面白いだろう?」
「この時点のギルバートは、まだエルに全然心を開いてないよね」
「ラルフとギルバートって、この頃にはもう普通に会話してたっけ?」
みたいに、昔の本文を読み返しながら、エピソードを挟む時間軸をあれこれ話し合う相手として最高でした。感謝。
ということで、今回はエンディング後ではなく、本編32話と33話の間くらい。
エルが修行中で、ギルバートともまだまだぎこちなかった頃。ギルバートの家での一幕です。
ラルフの照れた時に左頬を掻く仕草とか。
何年も前の本文を見返しながら、「そうそう、こういう喋り方だったな」と少しずつ思い出していく時間も楽しかったです。
これをきっかけに続きをどんどん書くのかというと……そこはまだ全然分かりません。
また急に書きたくなるかもしれないし、今回だけかもしれない。
でも、何年も前に完結させた物語の世界にこうしてもう一度帰ってこられたことが、今はなんだか嬉しいです。
久しぶりのエルと、ギルバートと。
そしてもちろん、ラルフを。
懐かしい気持ちで楽しんでもらえたら嬉しいです。
*
番外編 もう一人分
「ラルフ!」
修行を終えてギルバートの家へ戻る途中、前を歩く大きな背中を見つけた。
この街に来てから何度も見かけているはずなのに、人の多い通りの中でもラルフの姿はよく目立つ。
俺が少し大きな声で名前を呼ぶと、その耳がピクリと動いて、ゆっくりとこちらを振り返った。
「おォ、エル。今日は随分早ェな」
「ああ。今日はいつもより早く終わったんだ。ラルフは?」
「オレかァ? ちょっと街の方まで行ってたンだよ」
最近はユウリもラルフと一緒に魔女の情報を集めているらしい。
今日は別の場所を調べているらしく、ラルフは一人だった。
ふと見ると、その大きな手には紙袋が握られている。
袋の口からは、ほんのりと甘い匂いが漂っていた。
「それ、何買ったんだ?」
「あァ、これか?」
ラルフは手に持っていた紙袋を少し開いて、俺に中を見せてくれた。
そこには色とりどりのドーナツがいくつも並んでいる。
甘い匂いの正体はこれだったらしい。
そういえば、村にいた頃にも警備隊へドーナツの差し入れがあったことがある。
あの時もラルフは、随分嬉しそうな顔をしていた。
―――やっぱり好きなんだな。
「へぇ、美味そうだな」
「だろォ?」
何故かラルフが得意げに胸を張る。
別にラルフが作ったわけではない。
そう言おうと思ったけれど、随分嬉しそうなので黙っておくことにした。
紙袋を覗いていたせいなのか、急に腹が減ってきた。
考えてみれば、修行を始めてから身体を動かす時間もかなり増えている。
家へ帰ったらすぐに夕飯を作ろうと思っていたところだった。
「そうだ。ラルフ、今日飯食ってかない?」
「……あァ?」
ラルフは予想もしていなかったのか、少し目を丸くする。
「今から作るつもりだったし。一人分増えたってそんな変わらないからさ」
「いや、でもよォ……」
そう言ってラルフは俺の後ろにある家へ視線を向けた。
俺もつられるように振り返る。
そこにあるのは、もうすっかり見慣れてしまったギルバートの家である。
「ここ、ギルバートの家だろォ?」
「そうだけど」
「オレが勝手に飯食っていいのかァ?」
「大丈夫だって」
「聞いたのか?」
「まだ」
「オメェなァ……」
ラルフが大きなため息を吐いた。
確かに家主に何も聞かず人を夕飯に誘うのは、少しおかしいのかもしれない。
でもギルバートだって、嫌なら嫌と言うだろう。
多分。
「今から聞けばいいだろ。ほら」
俺はそのまま家へ向かって歩き出す。
少し間を置いて、後ろから大きな足音が聞こえてきた。
「オレ、まだ食うって言ってねェぞォ」
「じゃあ食わない?」
「……食うけどよォ」
ほら。
やっぱり食うんじゃないか。
*
家の扉を開けると、リビングにはギルバートの姿があった。
ソファに腰を掛けて、いつものように本を読んでいる。
最近はもう、この光景を見ると家に帰ってきたのだと感じるようになっていた。
ここは俺の家ではないんだけど。
「ただいま」
「ああ」
今日は返事があった。
それだけのことで少し嬉しくなってしまう自分が、なんだか悔しい。
「邪魔するぞォ」
後ろからラルフも声をかける。
するとギルバートは、今度はすぐに本から顔を上げた。
「なんだ、お前もいたのか」
「いたら悪ィかァ?」
「別に」
それだけ言うと、ギルバートは再び手元の本へ視線を戻した。
俺の時より返事が早い。
―――気のせいだ。
多分。
「今日、ラルフも飯食ってくから」
「……なんで俺に言うんだよ」
ギルバートが本から目を離さないまま答える。
「だってギルバートの家だろ?」
「作ってんのはお前だろ。勝手にしろ」
「だってさ」
俺はラルフの方を振り返る。
するとラルフは、なんとも言えない表情で俺とギルバートを交互に見ていた。
「……それ、いいって意味なのかァ?」
「多分」
ギルバートはそれ以上何も言わない。
追い出せとも言わないのだから、問題はないということだろう。
俺はそのままキッチンへ向かい、買ってあった食材を取り出して夕飯の準備を始めた。
後ろではラルフが椅子を引く音がする。
しばらくは、俺が包丁を動かす音とギルバートが本のページをめくる音だけが聞こえていた。
「そういや、今日また東側を見てきたンだけどよォ」
先に沈黙を破ったのはラルフだった。
「ああ」
「特に変わった話はねェなァ。魔女を見たって奴もいなかった」
「なら次は西だな」
「オレもそう思ってたンだけどよォ。あっちは結構広くてなァ」
「市場から当たればいいだろ。人の出入りが一番多い」
「あァ、なるほどなァ。そっから外に広げてくか」
「その方が早いだろ」
「そうだなァ」
包丁を動かしていた俺の手が、いつの間にか止まっていた。
……普通に喋ってる。
ラルフから話は聞いていた。
俺が修行へ行っている間、二人は情報交換のためにこうしてよく会話をしているらしい。
だから、別に今更驚くことでもない。
それは分かっている。
―――分かっているんだけど。
俺がギルバートに話しかけても、まともに会話なんて続かない。
話しかけたところで二言、三言。
酷い時には返事すらない。
嫌われるために始めたことなのだから、それでいいはずなのに。
実際そうなってしまうと、なんだか少しだけ悲しい。
なのに。
「それなら明日聞いてみるかァ」
「ああ」
ほら。
なんでラルフとはそんな普通に喋るんだよ。
野菜を切る手に少しだけ力が入る。
トントン、と響いていた包丁の音が、いつの間にかドンドン、と大きくなっていた。
「……エル?」
突然名前を呼ばれ、俺は振り返った。
ラルフが不思議そうな顔でこちらを見ている。
「どうしたァ?」
「なんでもない」
「そうかァ?」
ラルフは首を傾げる。
その隣で、ギルバートも一瞬だけこちらを見た。
目が合う。
しかし、すぐに何事もなかったかのように本へ視線を戻してしまった。
―――なんなんだよ。
俺は少しだけ乱暴に、残っていた野菜を切った。
*
「うめェ!」
料理を口に入れた瞬間、ラルフが大きな声を上げた。
その声が静かなリビングの中に響いて、俺は思わず手を止める。
「ほんと?」
「あァ! うめェなァ、これ!」
ラルフはもう一口、今度はかなり大きな一口を口の中へ放り込む。
さっきまで街でドーナツを買っていた人間とは思えないほどの勢いだった。
「まだあるぞ」
「マジかァ?」
俺が頷くと、ラルフの顔がぱっと明るくなった。
その様子を見ていたら、先程まで抱えていた小さな苛立ちなんてどうでもよくなってくる。
ラルフは本当に美味そうに飯を食う。
大きな口で食べ物を頬張り、飲み込んだと思えば、またすぐ次の一口へ手を伸ばす。
食べる速度は速いのに、決して雑には見えない。
むしろ、一口一口を本当に美味しいと思って食べてくれているのが伝わってくる。
作った側としては、見ていて気持ちが良かった。
「エル、オメェも食えよォ」
「食べてるよ」
「さっきからオレのことばっか見てンじゃねェか」
「だってラルフ、すごい勢いで食うから」
「うめェもんは仕方ねェだろォ」
ラルフが大きな口を開けて笑う。
つられて俺も笑った。
こうやって美味しいと言ってもらえるだけで、料理というものは随分作り甲斐があるらしい。
ふと、隣に視線を向ける。
ギルバートはいつも通り、静かに食事を続けていた。
表情は変わらない。
俺の料理を不味いと言ったことはない。
ただ、美味しいとも言ったことはなかった。
「……ギルバート」
「なんだよ」
「どう?」
「何が」
「飯」
「食ってるだろ」
「それは見れば分かるって」
少しくらい何か言ってくれたっていいだろう。
俺はそう思いながら、じっとギルバートの顔を見つめる。
しばらくすると、視線に耐えられなくなったのか、ギルバートが面倒そうに眉を寄せた。
「食えないとは言ってねぇ」
「それ感想じゃないだろ!」
横からラルフが吹き出す。
「ハハッ、オメェらいつもこんな感じなのかァ?」
「ギルバートが全然感想言ってくれないんだよ」
「お前がいちいち聞いてくるからだろ」
「だって作ったら気になるだろ!」
「面倒くせぇな」
「ほら! こういう感じ!」
「ハハハッ!」
俺がギルバートを指差すと、ラルフはますます楽しそうに笑い始めた。
ギルバートは明らかにうるさそうな顔をしている。
いつ席を立ってしまうかと少し心配になったけれど、結局その場から動くことはなかった。
三人で同じテーブルを囲んでいる。
ただ、それだけだった。
ギルバートと二人で食事をする時は静かだ。
俺が話しかけなければ、食器同士が触れ合う音くらいしか聞こえない。
ここへ来たばかりの頃は、その沈黙がどうにも居心地悪く感じていた。
今では、それにも随分慣れてきたと思う。
でも。
「エル、これもう一杯いいかァ?」
「もちろん」
「やったぜ」
そう言って嬉しそうに皿を差し出すラルフを見る。
ラルフの声がして。
俺がそれに答えて。
その横でギルバートが何も言わず飯を食っている。
こんな夕飯も、悪くない。
むしろ―――。
俺は空になったラルフの皿を受け取りながら、自分でも気付かないうちに笑っていた。
*
食事を終える頃には、テーブルの上に並べた料理は綺麗になくなっていた。
普段より多く作ったはずなのに、ほとんど残っていない。
改めてラルフの食欲に感心してしまう。
「いやァ、食った食った」
ラルフは満足そうに腹をさすりながら、大きく息を吐いた。
その顔を見る限り、本当に満足してくれたらしい。
「もう帰るの?」
「あァ。明日も朝から調べてェことあるからなァ」
「そっか」
そう言われると、なんだか少しだけ残念だった。
食事が始まってから、それほど長い時間が経ったわけでもない。
なのに、さっきまで随分騒がしかったせいか、もう帰ってしまうのだと思うと急に部屋が静かになってしまうような気がした。
「また飯食いに来いよ」
「あァ?」
「ラルフと飯食べるの、楽しいし」
「…………」
ラルフが突然黙り込む。
さっきまであれだけ喋っていたのに、今度は何も言わない。
「どうした?」
「いや……なんでもねェよォ」
ラルフは俺から目を逸らすと、左手をゆっくりと顔へ持っていった。
そして少し照れくさそうに、左頬をポリポリと掻き始める。
何故か少し落ち着きがない。
「変なラルフ」
「オメェが変なこと言うからだろォ……」
「俺?」
何が変だったんだろう。
俺が首を傾げていると、ラルフは誤魔化すように、街で買ってきた紙袋へ手を伸ばした。
中を覗き込む。
そして、何かを考えるようにそのまましばらく動かなくなった。
「ラルフ?」
「……エル」
「ん?」
「これ、やるよォ」
ラルフが袋の中から取り出したものを、俺の目の前へ差し出す。
ピンク色に綺麗にコーティングされた、一つのドーナツだった。
近くまで持ってこられると、甘い香りの中に少しだけ酸っぱい、イチゴの匂いが混ざっている。
「俺に?」
「あァ」
「いいの?」
「飯食わせてもらったからなァ。その礼だ」
ラルフはそう言うと、また左頬を掻く。
俺は差し出されたドーナツと、ラルフの顔を交互に見た。
ふと紙袋の中を覗き込む。
もう、他のドーナツは残っていなかった。
「……これ、最後の一個じゃん」
「いいンだよ。やるって言ってンだからよォ」
ラルフは早く受け取れ、と言うようにドーナツをこちらへ押し出してくる。
せっかくくれると言っているのだから、そのまま貰ってしまってもいいのだろう。
でも。
最後の一個だと思うと、なんとなく一人で食べるのは悪い気がした。
「じゃあ半分こしよう」
「はァ?」
ラルフが素っ頓狂な声を上げる。
「最後の一個を俺だけ食べるの悪いだろ」
「オメェなァ……。オレがやるっつってンだから、別にいいンだよォ」
「いいから」
ラルフが何か言うより先に、俺はドーナツを受け取って二つに割った。
綺麗に半分とはいかず、片方が少しだけ大きくなってしまう。
俺は迷わず、大きい方をラルフへ差し出した。
「はい」
「……そっちデケェじゃねェか」
「ラルフが買ったんだからいいだろ」
「ったく……」
ラルフは呆れたようにそう言うと、俺の手から半分になったドーナツを受け取った。
文句を言っている割には、その口元は少し緩んでいる。
俺たちはほとんど同時にドーナツを口へ運んだ。
口の中に甘さが広がる。
その後からイチゴの甘酸っぱい味が追いかけてきて、見た目ほどしつこい甘さではなかった。
「……うまい」
「だろォ?」
俺が感想を言うと、ラルフは何故かまた得意げな顔をした。
―――だから、ラルフが作ったわけじゃないだろ。
今度こそそう言おうと思った。
でも。
俺の隣で残ったドーナツを美味そうに食べているラルフを見ていたら、なんだか言わなくてもいいような気がした。
少し離れたところから、紙をめくる音がする。
視線を向けると、ギルバートが本から顔を上げてこちらを見ていた。
俺と目が合った瞬間、何もなかったように再び本へ視線を落とす。
何を見ていたのだろう。
俺は少しだけ気になったけれど、どうせ聞いたところで教えてくれないだろう。
残っていたドーナツをもう一口齧った。
*
「じゃあ、そろそろ行くわァ」
玄関の扉の前で、ラルフが片手を上げる。
外はもう随分暗くなっていた。
明日も朝から調査をすると言っていたし、いつまでも引き止めるわけにはいかない。
「うん。またな。今度も飯食ってけよ」
「あァ。……いや」
返事をしかけたラルフが、突然言葉を止めた。
その視線が俺を通り越し、後ろへ向けられる。
何だろうと思って振り返ると、そこにはギルバートが立っていた。
「オレが勝手に来ていいもんなのかァ?」
「あ」
そういえば。
ここはギルバートの家だった。
夕飯を作っているのが俺だからと、すっかり忘れていた。
「ギルバート」
「なんだよ」
「ラルフ、また来てもいい?」
「なんでお前が聞くんだよ」
「いいだろ、別に」
俺がそう言うと、ギルバートは大きくため息を吐いた。
そしてラルフを見る。
ラルフも何も言わず、その返事を待っていた。
「……次はもう少し静かに食え」
一瞬。
ラルフが目を丸くした。
俺も思わずギルバートの顔を見る。
ギルバートはいつも通り、面倒そうな表情をしていた。
ただ、今の言い方ではまるで―――。
ラルフも同じことを思ったらしい。
次第に、その口元がニヤリと緩んでいった。
「なんだァ?」
「……なんだよ」
「それ、次も来ていいってことかァ?」
「好きにしろ」
「ハハハッ!」
ラルフの大きな笑い声が玄関に響く。
ギルバートは眉間に皺を寄せた。
「うるせぇ」
「ワリィ、ワリィ」
全く悪いと思っていない顔で、ラルフが笑っている。
「じゃあ、また来るわァ」
「おう。またな!」
「ギルバートも、じゃあなァ」
ギルバートは返事をしなかった。
しかし、ラルフが扉を開けても何も言わない。
外へ出ていく大きな背中を見送り、俺はゆっくりと扉を閉めた。
さっきまであれだけ騒がしかった家の中が、一気に静かになる。
いつもの静けさに戻っただけのはずなのに。
今は少しだけ、物足りないような気さえした。
リビングへ戻り、テーブルの上に残された皿を一枚ずつ重ねていく。
今日の夕飯は、いつもよりかなり多く作った。
それなのに、料理は綺麗になくなっている。
ラルフ、本当によく食べるな。
次からは―――。
飯を作る時、もう一人分くらい多く作っておいてもいいかもしれない。
毎日ラルフが来るわけではない。
来なければ、余った分は次の日に俺が食べればいい。
だから別に、無駄にはならない。
そう。
別に、ラルフがまた来るのを待っているわけではない。
「……何ニヤニヤしてんだよ」
突然後ろから声をかけられ、俺は振り返った。
ギルバートが少し怪訝そうな顔でこちらを見ている。
「別に?」
「気持ち悪ぃな」
「なんでもないって」
俺は重ねた皿を両手で抱えて、キッチンへ向かった。
明日は、何を作ろう。
そう考えてから、ふと気付く。
―――いつの間にか、一人分多く作るつもりになっていた。
俺はまた少しだけ笑って、そのまま皿を洗い始めた。