多分バレてると思うんですけど、奥山は「くそ」がついても余るほど真面目です。
今では随分丸くなりましたが、幼少期なんかは父が親父ギャグを言ったり変な節をつけて絵本を読み聞かせてくるのが大嫌いで、許せなくて、毎回きちんと激怒していたものです。
そんな性格なので、冗談を言うとか、今日みたいなエイプリルフールとかって、いちいち「冗談を考える」ということをしなきゃならないのですよ。
デフォが「マジレス」なのでね。冗談で流すのをがんばらなきゃならないっていう、変な人なんですよね……。
そういう訳で、この投稿は別にエイプリルフールじゃないです!
お陰様をもちまして、3月1日から連載を始めた『さようなら、いばら姫』が完結いたしました!
毎日読みに来てくださった方、それから一気読みしてくださった方も、まだ途中の方も、読んでいただいて本当にありがとうございます。応援ボタンやお星さまも励みになりました。
本作は電撃大賞応募作ですので、こちらの近況ノートを「あとがき」とさせて頂こうと思います。
※ネタバレに配慮しませんので、本編読了後を推奨します。
「いばら姫」は書くにあたっての目標というか、やってみたいことがいくつかありました。
まずは童話をベースにしたアレンジものを書きたいなと。童話ものって、よくも悪くも童話臭みたいなのがあるじゃないですか。これ悪口ってわけじゃないけど、どこかポエミーというか、行き過ぎると苦手な方も多そうだな、というかわたしが苦手なんですけど。
そこを無くして、どうにか小説に落とし込めないものかというのが一つの挑戦でした。しかも“昔話感”は崩すなよという縛り付き。でも結構、この文体が今回特にお褒めの言葉をいただいたポイントでして、作者としては大満足です。
ちなみに執筆の際に参考にしたのは福音館書店の『グリムの昔話3』(フェリクス・ホフマン編・画、大塚勇三訳)。1話目に『いばら姫』が収録されています。小さい頃に読んでいたもので、この語り口調が絶妙に昔話感があるのです。
しかもこのシリーズ、子供向けながらほとんど原作(といって良いのかはさておき)そのままなので、サラッと舌を切り落としてそれを証拠にしたり、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせる罰を与えていたりします。
五年ほど前にも書店で見かけたので、絶版にはなっていないと思う。興味がある方は見てみてください。
それから「ボーイミーツガール」もしくはその逆を一度書いてみたかった。でも本当にそうなったかは分かりません。ガールミーツボーイだとして、キリルはガールって感じじゃないし。「女主人公」のタグをつけるかどうかすら迷ったところ。
あとはわたしの大好きなタイトル回収要素を入れ込みました。一度ならず複数回、それも幾重にも回収されるのが好きです。今後もやっていきたいですね。
……ちょっとユルギスの話をしてもいいでしょうか。
竜滅部隊の襲撃のシーン、プロットの段階では
「キリルピンチ 賢者からもらったアイテムで助かる」
としかなくて、そのアイテムが一体何なのかまでは決まっていなかったのです。で、いざそのシーンを執筆してみて困って、色々考えた時に不意に
「指輪」。
指輪ならなんか魔法のアイテムっぽい、何かの作品に指輪が通信アイテムとして出たことあった気がする、それなら緊急通報アイテムとしても役立つのでは……?
と組み立てた瞬間、ユルギスのあのキャラクター性が決まりました。キリルに指輪を贈る男ですよ? 別に指輪じゃなくたっていいじゃない、それをわざわざ指輪ですよ?
ということで、彼は「暗黒時代にキリルに会ったおかげで救われ、ついでに女の趣味がキリルになってしまった男」という設定が確立されました。
でもお陰で終盤のストーリーが完成したとも言えるんですよね。キリルに出会って価値観が変わり、先代の背景事情に思いを馳せ救いたいとすら望むようになった。
それまではキリルとスヴェンでケンカップルにならないかなあと思ってたのですが、ユルギスが掻っ攫っていきましたねえ。彼、五十年も忘れられてても全然気にしないどころか、そんなキリルも愛してるような人なので、その厄介さを知っているスヴェンはきっとユルギスの味方になるのでしょう。その結果が最終話に反映されていると思います。
本当はもう少し語りたいのですが、既に語り過ぎたのでここらへんで自粛します。
電撃大賞、どこまで行けるかなあ。初参加なので今から楽しみです。
季節の変わり目、そして年度の変わり目、皆さまもお体に気を付けてくださいね。あと花粉症。
またね。
