彼女が両手の拳をぐいっと目の前に並べて出した。
「どーっちだ?」
小さな女の子がいたずらしている時のような笑顔。年齢相応に言えば悪い笑顔。
今日はバレンタインデー
つまり、どちらかの拳にはチョコレートが入っているに違いない・
「右? 左?」
と言われても、どっちの拳も同じように見える。何かを握ってるような、握っていないような。
彼女は笑顔を浮かべて、あたしの答を待っている。
悩む。チョコレートをもらいたい。どうせなら、いや、絶対。それって本命の証、じゃん!
右手の人差し指を立てて、どちらの拳を選ぶか悩む。
「両方ってことある?」
一応確認してみたり。
「チョコは片方にしかない」
いひひ、っていう子憎たらしい顔。いや、そんな表情すらも可愛く見えるくらいには、脳がやられている。そんなに好きなんだからチョコをもらう権利はあたしにある、筈。
一寸、天を仰ぐ。
カミサマ、お願い。
「こっちだ!!」
右手の人差し指を突き刺すような勢いで、彼女の右拳の甲に向けて、突き出した。
「こっちでいいの?」
ちょっと上目遣いで見られると、決意が揺らぐ。惑わせないでよ、もう。
「……いい。こっち、右」
うふ、っと彼女は笑って、指差されていない方の左手の拳の掌を上に向けて開いた。
そこには、手の中に隠れるくらいの、立方体のチョコがキラキラする赤い包紙に包まれていた。
あああ、外した。
ガックリと肩を落とし、彼女の右拳を指していた手も体側に落ちる。
すると、彼女が右の拳をゆっくりと開いた。
もちろん、そこには何も入っていない。
ちぇ
すると、彼女の右手が顔に伸びて、親指があたし頬を撫でて、他の指が耳の下から頸へと向かう。そのまま、あたしのうなじに回した手に力が入って、彼女は自分の顔にあたしの顔を近付けて、
塞がれた。
「……ちっちゃいチョコよりずっと甘いでしょ。だから、こっちが当たり」
Hit The Jackpot!
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2月14日ギリギリまだバレンタインデー、こんばんは、うびぞおです。
バレンタインSS、ショートストーリーというものを書いてみました。イメージとしては、『コンパナ』のユカ(彼女)とナツ(あたし)で書きましたが、どのカップルでもええわ、という感じもしてます。
カクヨムコン無事終了いたしました。『コンパナ』書き終えたし、絵も書いたし、もうやることはやったのでもういいです。おかげ様で予想していたより★もPVも多くて(うびぞお比)で満足しておリます。今回のカクヨムコンは、自己肯定感爆上げとなりました。これを次の創作への意欲に繋げていけたらいいのです。
なんにしろ、応援してくださってありがとうございました。
で、カクヨムコン終わって絶賛休憩中、のつもりだったんですが、やっぱり『百合小説コンテスト』に挑戦したくなり、オリジナルを作るエネルギーはないので、『あがれッ』をコンテスト用に書き直し始めました。主人公一人称で視点変更なし、に改造して、多分、タイトルも変えます。また、おんなじもん書いとるんかい、と思われるでしょうが、うびぞおには『あがれッ』以外に、このコンテストにハマれそうな作品がないんです。なんだかなー。
このコンテストって、本当に入選した作品しか発表されなさそうなんで、まあ、応募するだけ無駄、という気がしないでもありません。そう考えると、こんな改稿に力入れてんのがちょっとバカらしくもあるんですが、コンテストはまず参加して盛り上げることに意味があるからいいかなーとも思うので、コンテストに応募できるよう改稿頑張ります。
ま、そんなこんなでうびぞおでした。
٩( 'ω' )و٩( 'ω' )و
映画『VESPER/ヴェスパー』を観ながら
