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美鳥のバレンタイン

 今日は一日中周りがざわついていた。貰っただの、渡しただのと大騒ぎ。
 仲良しの歩美も昼休みに渡せたって、にっこりと報告してくれた。


 今、学校の帰りで公園のベンチで二人寄り添って座っています。私は、通学鞄からペーパーバックを取り出して、

「はい、お兄ぃの」

 渡してあげた。

「ありがとう。待ってたよ」

 ホクホク顔で受け取ってくれた。
 それを見て、わたしの肩から力が抜けた。緊張していたんだ。
 だって2年ぶりにお兄ぃに渡せたんだよ。この時のために作り方を勉強し練習もした。
 それが、やっと報われだんだ。

「どういたしまして」

 するとお兄いは、袋から包みを取り出した。

「もう、開けちゃうの?」
「こういうの味合うのって早い方がいいかなって」

 お兄ぃは袋からラッピングをした包みを取り出すの。ピンクの包装紙にサテンの赤いリボンを斜めがけにしてあります。

「なんか、可愛いや」

 お兄ぃが感想を言ってくれる。頬が熱くなってしまいます。そしてリボンを解き、包み紙を開けていく。なんか私が露わにされていく気分です。そしてパッケージが開けられる。

「おー! ハートだ。美鳥の心の形かな」

 やめてぇ、真っ赤になっただろう頬を隠すのに下を向くしかありません。
「ん? 何か模様がある?」

 そう、チョコを捏ねている途中で出た涙が入ってしまった。ファットプルームっていうんだって。白い紋様が出てしまったの。

「なんか、これもハートの形に見えるや」

 お兄ぃもそう見えるんだ。失敗作だと思ったけど、捨てないで渡した訳なんだ。

「美鳥の気持ちが籠っている証拠だ」

 おもわず、お兄ぃの顔を見てしまう。にっこりと笑ってくれた。私の胸の奥でドクンドクンて音が聞こえる。

「では、早速」

 お兄ぃは、パッケージからチョコを取り出して口に含んだ。
 私の目が潤んでいくのがわかるの。やっと渡せる。2年分、いえ、違う。出会ってからの全ての想いがお兄ぃの中へ入っていく。

「あれっ」
 
 お兄ぃが呟く。

そう、お兄ぃの目から涙が、ひとつ、ふたつ流れ落ちた。

「この感じは………、そうか、この気持ちは」

 お兄ぃは私を見返して来た。

 そして、

「ごめんな。美鳥の気持ちを気づけなくて」

 えっ?

「2年分、気持ちが俺に入って来たよ。寂しい想いさせた。ごめん」

 あぁ、私の心の奥にしまいこんだ。
気持ちが、
想いが
伝わった。

 私は体をお兄いの方に向けて返し、足に手を置いてのび上がる。
 そして頬にある涙の流れた筋に

   ♡

「うん、うん、うん、寂しかったよお」

 そして、さらにお兄ぃの足を跨いで彼の頭を抱えて、

   ♡

「もう、離れないでよぉ」

彼の唇は甘かった。チョコが残っていたのかな。
そして、深く、

   ♡

「私が、もう離さないから」

 お兄ぃの体を強く抱きしめた。

「俺もだよ」

 そして私の唇を塞いでくれた。

   ♡

 彼も私を強く抱きしめてくれる。

時が過ぎるのも忘れて抱き合っていました。

 

 私のバレンタインは、涙の味がしました。

 でも、

それは甘い。甘あーい。チョコレートのような甘いものでした。

2件のコメント

  • 原材料は、カカオとラブとティアドロップ。
  • そして微笑みをトッピングですね。

    コメントありがとうございます
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