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『好事家ルシアンの蒐集館』 第一蒐集篇 『太陽を一匙』 前編 挿絵

 西の海へ、日が触れた。

 最初は、ただ夕陽を映した海水にしか見えなかった。赤い光が水面を長く走り、波のひとつひとつが火を抱えたように揺れている。しかし、波打ち際へ近づくにつれ、赤は光ではなくなっていった。海面から掬い上げられたものは、柄杓の中で水よりゆっくり揺れ、濃い橙色のまま、粘りを引いて硝子瓶へ落ちた。

 太陽が、少しだけ溶けていた。

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