■コンステレーション級護衛艦■
コンステレーション級護衛艦は、国連宇宙艦隊が開発・生産する宇宙艦の艦型である。
D型輸送艦を母体としつつ、貨物エリアにアーレイ・バーク級駆逐艦の船体を接続した急造戦闘艦であるが、その基本設計の堅牢さ、汎用性の高さから、長期にわたり設計改訂を重ね、宇宙艦隊の主任務である太陽系警備の主力として維持運用されている。
なお、護衛艦(Escort Star)とは、貨物宇宙機(貨物船)の護衛を当初の目的とした艦種であり、法的には警備艇として取り扱われる。ただし、現在のところ該当する艦型はコンステレーション級のみである。
1.開発経緯
1-1.D型輸送艦
コンステレーション級の原型となるD型輸送艦は、官民問わず広く採用実績のある微光速宇宙機(宇宙船)である。高度にモジュール化された円筒形のコンポーネントで構成されており、司令室や小型機格納庫のある第一船体、パワーモジュールである第二船体、推進機を備えた第三船体、そして各船体を載せつつ前に突き出すように伸びる柱状のキールスパイン、前半部に据え付けられた貨物用アーム群で構成されている。
全体像を見ると、前半分が細長いキールスパインとそこから伸びたアームで多足類の腹のようになっており、後ろ半分が大小の円筒形で出来たタワーのような形をしている。
特徴の一つである露天型貨物エリアは、キールスパインから伸びた貨物アームによる露天固定でコンテナを保持する形になる。コンテナは地表で使われるような一般のものとほとんど変わりないもので、コストパフォーマンスの都合上、静止殻システムや航行シールドなどの空間航行装備はアーム側に依存している。
宇宙機としての本体である第一、第二、第三船体は惑星上からの打ち上げ用ロケットのコンポーネントを流用しており、経済的に優れた設計と言われている。決して小型の船ではないが、その経済性や高性能さから数百隻以上の同型艦及び準同型艦が建造され、設計も何度も改訂を重ねられ、官民問わず長く愛され続けている。
D型は輸送艦、貨物船として開発された艦型ではあったが、搭載できる貨物の種類の幅広さ、汎用性の高さ、そもそも大量に建造され、どこにでもあることから、しばしば多様な使われ方をした。つまり、貨物アーム側に空間航行装備が備え付けられているということは、宇宙機として設計されていない構造物でも、貨物アームで掴んでしまえば最低限宇宙船の船体として使用できるようになるということだった。事実、宇宙艦隊や民間企業は、貨物アームに居住施設や科学実験室を括りつけることで、D型を簡易的な多目的艦として運用しており、これは長らくよく知られた『裏技』でもあった。
1-2.プロジェクト・コンステレーション
1979年の設立以降、国際連合宇宙艦隊(UNESF)は、宇宙空間における探査や科学実験、航路開拓や基地開設の一切に責任を持っていた。やがて規制緩和により商業的宇宙開発が行われるようになると、官民一体となった資源採掘プロジェクトが開始され、機械部品の自動工場など様々な経済活動が宇宙で行われるようになった。
指数関数的に増えていく民間貨物船の往来に呼応するように、2000年代前半から犯罪行為も増加し、ついには海賊行為を働く者が現れた。その爆発的な増加に対して、貧弱な自衛装備の民間船は太刀打ちする手段を持っていなかった。
また当時、宇宙艦隊は科学調査用の探査船を改造した簡易的な採掘警備船しか持っていなかったため、タフな民間輸送船を強武装して運用する宇宙海賊への対応は難しく、対応は常に後手に回る状況だった。
そこで宇宙艦隊は、本拠地であるルナポート基地の設計局が出したいくつかのアイデアのうち、一つを採用した。つまり、ワークホースとして大量建造されていたD型輸送艦の基本構造を流用し、既に戦闘システム艦として完成されていたアーレイバーク級駆逐艦を”輸送”させることを考案したのだった。実験室のかわりに水上戦闘艦を括り付け、その武装の射程内まで輸送する、という発想である。
このプランは《プロジェクト・コンステレーション》と呼ばれることとなり、その結果建造された人類初の宇宙戦闘艦、SXC-251《コンステレーション》にも名称は引き継がれた。試験艦であった《コンステレーション》は各種の試験運用でも良好な結果を残したため、再度大規模な改修を受けたうえ、《SSC-251》の登録番号を与えられ、正式に宇宙艦隊の戦闘艦として実運用される運びとなった。
《コンステレーション》が進宙した当時、宇宙艦隊事務局で探査にかかわる保安責任者だったラマヌジャン大佐(当時)は、《コンステレーション》を有効に運用するために、宇宙艦隊ルナポート基地に「地球高軌道警備業務隊」を立ち上げ、護衛任務等の運用開発を行い始めた。その成績が非常に優れたものであったため、宇宙艦隊は新規設計の護衛艦を開発するまでの間のつなぎとして、コンステレーションをタイプシップとした艦型の建造を認めた。これが、コンステレーション級護衛艦となったのである。
1-3.コンステレーション級の進化
コンステレーション級の建造・開発はスパイラルモデルが採用された。具体的には、最初に実用仕様になった《コンステレーション》の仕様をキャプション100と呼び、まずは同じ仕様で三隻が建造された。その運用データをフィードバックし設計が改訂された三隻(キャプション101〜)がさらに建造され、同時に前の三隻にも遡及して改修がバックフィット、これを繰り返す形で、コンステレーション級は数を増やしていった。
また、こうして本級同型艦の数が二桁に届くころには、『警備業務隊』は『高軌道艦隊』へと名前を変え、国際社会の掣肘を無視しつつ、シスルナ空間、さらには太陽系全体における実質的な宇宙軍となっていった。
なお、コンステレーション級建造にあたっては、アメリカ合衆国が建造中だったアーレイ・バーク級の半強制的な買い上げなどが行われたため、同国と宇宙艦隊の関係が悪化したほか、他の海軍国からもバーク級をタイプシップとした軍艦の供与がなされたことがある。(このため、日本はまや型ミサイル駆逐艦を余計に三隻も建造させられることになった。韓国や、バーク級コピーを建造していた中国も同様である)
こうしてコンステレーション級は現在までに計46隻が建造され、さらに6隻が建造中、12隻が計画中である。(その後は、専用の船体を持つノーザンクロス級に切り替わる予定となっている。SXC-701《ファイナル・フロンティア》が試験中)
2.各キャプションごとの違い
最初期の設計であるキャプション100から、現在最新のキャプション130まで多彩な改修・設計改訂が行われている。
基本的にはほとんどの同型艦が同じ最新キャプションになるように改修されているが、基礎設計やコストの関係で完全には改修できないものは、一部の機能をオミットし「キャプション1xxプラス」という独自仕様に改造されている。
▼主な仕様
キャプション100:初の実戦仕様。独立投射式の戦闘用シールドエミッタと大出力ナビゲータをはじめて搭載。
キャプション101:キャプション100のマイナーアップデート型。量産に向け、細かい艤装が制式仕様に交換される。
キャプション110:最初のメジャーアップデート。D型輸送艦からの改造を廃止し、専用の角錐型キールスパインを持つ。
キャプション120:二回目のメジャーアップデート。センサー及び指揮システムを一新、Mk10魚雷の搭載に対応。新世代型の動力炉に更新。推進システムが新規設計となりスラスター比推力が改善。
キャプション123:角柱型キールスパインが、静止殻による剛性担保効率が向上した流線型キールスパインに置き換えられる。静止殻システムがアップグレードされ、加減速許容範囲が広がり、変針可能円錐が大きくなる。(運動性の向上)
キャプション120プラス:キールスパインの形以外が123-124相当にアップグレードされたもの。
3.装備
3-1.航行・戦闘システム
初期のコンステレーション級の戦闘システムは、イージス武器システム(AWS)を原型に、宇宙艦のオペレーション用に開発された統合星間運航システム(IISFS)を連接した複合システムであった。生産中期以降は、IISFSに武器管制能力と索敵能力、戦闘管制能力を付与したIISFS2.1が装備されるようになった。
また、マンマシンインターフェースとしては、全艦共通して先進空間戦闘情報センター(ASCIC)が採用された。このASCICは、水平全周を見渡せる巨大なモニタ・スクリーンと、自艦を中心とした半径5ステラマイルから300ステラマイルまで拡張可能なリアルタイム三次元星図を備えており、運航・戦闘・科学調査などを完結して行える能力を持つ。
また、パワーモジュールに乗組員の常駐を必要としないMゼロ船でもあるため、機関関連の要員についても、巡航中はASCICに詰めることとなる。
生産時期によっては運行能力を完全にASCICに統合しているため、CIC/航海艦橋の区分が消滅し、あわせてブリッジと呼ばれる。
省力化が図られているため、音声命令認識なども併用すれば、理論上は一名での操艦も可能である。
3-2 魚雷
魚雷については、前部VLS.Mk108に20セル、後部に50セル分の発射管が用意されている。
対艦用の双極亜量子崩壊弾頭を搭載したSTP.Mk10空間魚雷や、ミッションプロファイルによってはデコイ発射用・レーザー攪乱用の特殊弾頭を搭載したSTP.Mk8空間魚雷を搭載する。
Mk10魚雷はいわゆる双極魚雷と呼ばれるタイプの魚雷で、当該タイプの魚雷は宇宙艦隊しか保有していない。あくまでも航路上の危険な障害物を破砕することを目的とした「非攻撃用」の武器だが、実態としては海賊船や敵対する艦船に対する打撃力としての性格を強く帯びている。
Mk10は、おおまかに三つのモジュールで構成されており、先頭からペレットのような形状をした弾頭モジュール、姿勢制御と誘導を司るRCSモジュール、そして推進モジュールの順番となる。
弾頭モジュールは、要となる〈オーバーラン〉、亜量子門崩壊デバイスが搭載されている。これはゼロ現実と現実をチャンバーの中で圧縮し、局所的な時空間崩壊を誘発する擬似零点エネルギー反応を起こす。現在主流なのは核出力3ギガトンクラスのMk5966弾頭である。
弾頭モジュールの先端部には誘導用のセンサーシステムが装備されており、外殻の内側を通ってRCSモジュールと接続されている。
RCSモジュールは高性能かつ安価なノイマン型コンピュータをコアとした姿勢制御システムであり、目標の位置を確認しながらリアルタイムで航法制御をおこなう。RCSモジュールの側面に取り付けられた高応答性のイオンスラスタは、ステルス性に優れるインテグラル型の機構を採用しており、正面からの光学視認性を低減させている一方、姿勢制御能力については旧世代の展開式安定翼型スラスターユニットには劣る。
なお、宇宙艦隊では、ミサイル・魚雷・ロケットなどと呼ばれている誘導飛翔兵器の名称は、すべて〈魚雷〉で統一する規則となっている。
3-3 対飛翔体兵器
SAP.Mk3及びMk5 APLS(対飛翔体レーザシステム)を、生産時期によるが12〜48基搭載する。APLSは数メガワット級のガス・ダイナミック・レーザーを利用した指向性エネルギー兵器で、パルス発振モードと連続発振モードを自動で切り替え、魚雷等の高脅威飛翔体を攻撃する。コヒーレント光生成過程で〈オーバーラン〉により波長を調整されており、低電力大威力レーザーの投射を実現している。また、高いエネルギーを活かし、限定的ではあるがレーザーデジグネーションや簡単な通信にも利用することが可能である。
また、地表海上面で使用されるSeaRAMミサイルシステムとほぼ同一のコンポーネントを利用したStarRAT近接対魚雷システムを複数基(主に前後上面2基)搭載する。これは、レーザー撹乱ガス環境下や比較的大きな飛翔体など、レーザーでは荷が重い状況において、飛翔体を実体弾の直撃で破壊するためである。
3-4 砲システム
原型のバーク級に搭載されていた5インチ主砲のMk45が宇宙空間での使用に適さなかったため、コンステレーション級のために新たに各社入札で新型砲を検討比較した結果、イタリア・オートメラーラ社の《アポロ》127ミリ単装砲が採用された。
他メーカーが単純に既存の艦砲の気密性能や反動制御などを宇宙用に改修していたところ、本砲は一から設計されており、全体として軽量高性能かつ低コストであることが決定に影響を与えたとされている。
本砲の構成は、専用設計された127ミリ砲弾を、極限環境下でも作動可能な特殊な長砲身により発射するシンプルなものであるが、他の候補に比べ砲口初速が圧倒的に大きいため、ロケットモーターなどで再加速しなくとも十分な威力があり、かつ砲弾のシグネチャは抑えられつつ、さらには低コストであった。
障害破砕の本命が魚雷であったこともあり、船首側のモーメントを必要最低限に抑える軽量さと高性能を併せ持つ本砲は好意的に評価されることとなった。他候補と並行して試験運用された後、制式採用された。
なお、専用砲弾は焼尽薬莢を利用している他、弾頭そのものも自己蒸発素材(時間経過により真空中でガス化する特殊素材)で出来ており、標的に直撃後もしくは失中後の飛翔中、一定時間後に自己崩壊を始め、無害化される。※宇宙基本法(国際宇宙開発基本条約)では、砲弾のみならず宇宙機からジェットソンする可能性のある部品について、すべて蒸発可能な素材で製造するような規制が存在する。当然強度や寿命はあまり芳しくない。
3-5.艦載艇
宇宙艦隊の標準的な多目的宇宙艇(シャトル)であるMk.7シャトルを二隻搭載している。通常はヘリコプター格納庫に保管するが、場合によっては船外係留も可能である。また、発着艦の際は後部パワーモジュールの牽引ビームを使用し、ヘリコプター甲板を通じて母艦の慣性系を離れる。
シャトル水上艦艇における複合艇やヘリコプターなどの役割を統合したものであり、基地との連絡や哨戒、輸送、臨検など幅広く活躍する。
4.推進システム
4-1.主推進システム
コンステレーション級はメインスラスターとして伝統的な比推力可変型プラズマ推進機(VASIMIR)を採用している。いわゆる枯れた技術の集合で構成されており、信頼性はきわめて高い。基本設計は1980年代から変わっておらず、特殊な混合比の推進剤を電気でプラズマ化したのち、電磁加速及び電熱加速によって収束加速させ、船体後方に開口されたノズルより排出する。加速は観念偏向チャンバーを通して行われるため、排出するプラズマによる推力は作用反作用の法則を超えた効率を発揮しており、ロケットエンジン並みの推力をイオンエンジンに類する比推力で達成している。排出されたプラズマは一定時間(※厳密には時間ではない)で観念偏向効果を失い、急減速するため、大流量による急加速中のコンステレーション級は、針を突き出したような特徴的なプラズマ流を後方に残す。
ノズルは物理的な可変パドルによるものに加え、排出するプラズマ流量に応じて斥力エミッタによって封じ込めが行われるため、理論上無限長のノズル長さを獲得しており、きわめて効率がよい。
4-2.姿勢制御システム(RCS)
RCS用に船体各部にスラスターが装備されている。方式は様々だが、主にDCアークジェットが使用されるほか、一部で化学推進が用いられる。
4-3.(準備中)
5.センサー
コンステレーション級はその任務に警備のみならず救難活動、科学研究活動などを含むため、広範なセンサーを搭載している。
高度なセンサーフュージョン能力により、CIC等で各部のセンサーの情報を一括して表示することが可能であり、シームレスなズームイン・ズームアウト、波長の切り替え、自動での障害物表示などにより、高速で遷移することの多いコンステレーション級の任務を支えている。
5-1.SCS.Mk2 "SPY-9X"Rador
アクティブフェーズドアレイ方式のマルチバンド式レーダー。アンテナは艦橋の前後4基に加え、キールスパインやパワーモジュールにも複数搭載されている。
主にCバンドからXバンドの電磁波を探知可能なパッシブRFセンサであると同時に、全周を画像化可能なレーダーでもある。中近距離におけるコンステレーション級の目と呼んでも差し支えのない、戦闘システムの中核をなすセンサーといえる。キャプション110以降に搭載されたタイプはコンピュータ破壊モードを備え、高密度の電磁波束により魚雷の誘導システムの破壊などのソフトキルも担当する。
なお、ごく初期のキャプション103まではSPY-1シリーズをそのまま搭載しており、宇宙艦隊が独自開発したSCS-2シリーズが搭載されるようになるのはキャプション104からである。
5-2.熱光学画像センサユニット
船体の各所に取り付けられている高解像度の複合光学センサーユニット。船体表面を監視する機能も持つ。可視光から赤外線を主たる担当波長とするが、一部のセンサーはX線や紫外線なども担当する。SCS-2と並んで船体外部の情報を獲得するための重要なセンサーシステムであり、比較的集中して配置されたレーダーアレイと異なり、船体各部に分散配置され、冗長性を高めている。
5-3.天体観測ユニット
所謂スタートラッカーの進化版である。望遠カメラ、全周高解像度カメラ、高精度熱探知センサ、放射線画像センサなどを集中搭載した区画であり、マスト最上部に設置される。体積あたりの調達単価が最も高価なユニットとされている。主に星図作成やパッシブ光学探知に使用される。レーダーが使う電磁波の波長は長距離の探知に向かないため、それ以遠の光速探知は、天体観測ユニットが受け持つ。
5-4.姿勢監視用LIDARユニット
狭小な場所や港湾など、障害物の多い場所で使用される。周辺の障害物を精密に探知し、船の位置や姿勢を監視するほか、近距離の不審物の探知や、小惑星表面等の地形の画像化も担う。
5-5.重力波ソナー
バルバス・バウに搭載された重力波センサー。船体前方を光速で走査する。低解像度だが応答性が高く、巡航時や加速時の障害物探知に使用される。
5-6.各種内部センサ等
・クロノセンサ
船体各所に搭載された時間流監視センサ。時間方向の次元に逃げていくクロノトン放射を検知し、船体各所における時間流をデータ化する。
・Gセンサ
船体各所に搭載された加速度センサ。静止殻システムに加減速情報を提供する。
6.斥力装備
6-1.慣性系静止殻システム(静止殻、Stayshell)
80年代以降の宇宙船技術の根幹を成す、慣性系制御システム。コンステレーション級には建造時点での最新型が投入されることが多く、最もスタンダードなものはキャプション120から搭載されるSSS.Mk1021である。
慣性系静止殻と呼ばれる慣性系遮断技術により、船体を周囲の時空間、慣性系から切り離すことで、加減速時の船内加速度を軽減する。また、強力な時間整合能力を持つため、微光速域などの相対論的スピードレンジでの航行中に発生するウラシマ効果を加速補正値の枠内であれば、無効にする効果がある。
原理上、重力子線格子で船体の内外を覆うため、これらの斥力効果により構造維持フィールドとしての役割も果たす。
また、静止殻により切り離された慣性系は周囲の慣性系との境界に重力擦過による波を起こすため、副次的に放射線遮断などのシールド効果を得ることができる。そのため、民間の船などでは、静止殻と防御スクリーンをひとまとめにして装備していることがある。
6-2.防御スクリーン(シールド)
海賊船等からの攻撃や法定速度を超えた緊急航走時のデブリなど、静止殻が副次的に持つシールド効果では不足する状況のため、シールド専用の斥力フィールドエミッタを中心とした戦闘用シールドシステムを搭載する。電磁気と圧縮重力子線格子を主な構成要素とする複合非実体シールドで、主に一般的なデブリや砲弾などの威力を遮断するのに特化した波長に調整されている。可視光や通信に用いる周波数の電磁波などの帯域は敢えて開けられているために、比較的その帯域による攻撃には弱い。
物理装甲と比較すると質量の増加がきわめて小さく、モーメント制御や慣性系の切り離しに要するパワーを節約できる点、有利である。
ただし、双極重力崩壊などの時空間破壊には比較的脆弱なほか、コンステレーション級程度の出力だと、至近距離のメガトン級核弾頭の起爆などは完全に防ぐことはできない。
6-4.ステラナビゲーター(ナビゲータ)
高速で航行中、前方の細かい障害物を排除するための斥力装備。原理はシールドと同じだが、影響範囲が前方に広く、また水素原子レベルの低質量障害物も排除できるよう、周波数を調整されている。船の速度と斥力ビームによって障害物を進路から押しのけるが、押しのけた障害物が高脅威デブリとならないよう、比較的低速で左右に押し出しつつ、船のコースから離れた後は減速させる仕組みになっている。
その作動原理上、航路にはプラズマや放射線による独特の航跡が残り、宙域の環境や経過時間などにも影響されるものの、場合によってはその航跡をセンサーで探知することが可能である。
6-5.牽引ビーム発射機
トラクタービームを発射する特殊な重力子エミッタを搭載したロボットアーム。非接触で船の周囲の物体に作用できるため、艦載機の発着艦を含め、多用途に使用される。
7.動力
現実剥離ドライブ
反物質反応炉と理論真空炉を中心とする宇宙船用動力炉。莫大な電力、熱、現実剥離エネルギーを生産し、船内の各システムに供給する。一基で惑星ひとつのエネルギーを賄えるほどの莫大なエネルギー生産能力を持つ。
なお、反物質反応炉によるエネルギーはあくまでも触媒であり、実際には船全体を筐体として利用する巨大な現実剥離エネルギー召喚装置である。船体構造そのものがエネルギーを生産し、パワーリレーを通じて再度パワーコアに収集され、電力、熱などとして再分配される。
8.その他の設備
8-1.生命維持システム
大気組成システム、人工重力発生システム、熱循環システムなど複数のサブシステムにより構成されるシステムで、乗員の生命維持を担当する。兵器システムや推進システム、シールドシステムなど、船のほかの主要システムと連携・協働し、乗員が宇宙服なしでも船内で活動できるように環境を調整する。基本的には全自動で作動し、船体がダメージを受けた場合であっても柔軟に設定を調整することで高い恒常性を発揮する。
8-2その他の設備
なお、もともと機関室があった場所には予備発電機や水タンク、食料庫が置かれている。その他にも、船内には天体観測室や科学実験室、強化された医療設備など、アーレイバーク級にはない特殊設備が置かれる。(なお、医療室は冗長性確保のため3つある)