「暗渠の女達」という小説を書いていました。
大嫌いで一生憎み続けるであろう私の継母をモデルにしたお話です。関係性としては最悪で二度と顔も見たくない程嫌いですが、この継母は客観的に見た時にとても興味深い人物でもありました。
成人してから知った継母の生い立ちや半生はなかなかに劇的でした。「食わず女房」という昔話がありますが、私は継母とその化け物を重ね合わせ、事実(聞いた話ですが)と虚構を織り交ぜて小説を書きました。
父にそれを読ませたところ、ひどく叱られました。
「創作であっても人を傷付けることを書くな」ということでした。
「こんなの奴は読むわけないんだから傷付かないでしょ!」と言い返しはしたものの「たとえ本人が読まなくても、読む人が読めば判るような事を書いている」と、そう言われると、それ以上は反論できませんでした。
もっと若い頃にも小説書くのを止めた時期がありました。その後、色々心境の変化もあってまた書いてたのですが、父に言われた事は、痛いところを突かれたようで堪えました。私の創作の動機や衝動は全て、継母憎し!!家族死ね!!からきていたので、そこを塞ぐと何も残らない何も書けない……と思いました。
さっき、父に「最近は小説を書いてるのか?」と聞かれました。「書いてませんね」と答えました。
継母のことはいまだに憎くてたまらないですが、この人のおかげで私は本好きになりました。
継母は読書家だったのです。継母の大きな本棚の本を読んで育ちました。継母の「本棚のある部屋」の隅に学習机と箪笥を置かせてもらっていましたから。
今、異世界ファンタジーという枠に、逃げ込んでいるような妙な罪悪感があったりします。同時にこのジャンルがあることに救われもしたのです。
まだなんとか書き続けられます。