以前、第7-4話『二重スパイ』の際にもそんなお話をここに書かせていただきました。
そして今日公開した第9-2話『対話の力』でもまた、私は同じ罠を仕掛ける側になっています。
このタイトルの文字が誘う「和解」や「説得」の期待を、今回は意図的に、冷徹に裏返しました。
描いたのは、対話の外形だけが残された場面です。
会話は続いている。しかし、そこから生まれるのは相互理解ではなく、立場の宣言と行為の予告。
ザカリアの言葉は説得ではなく、数式のように自らの位置を厳密に定めるための宣言であり、交わされる対話は脅しの前段へと変換されていく。
『二重スパイ』で試みた「タイトルを伏線にする」手法を、別角度からの試みました。
タイトルで読者を一度「対話による解決」へと誘い、その期待が崩れる瞬間に、監視と信念の衝突、言葉と行為の乖離という物語の本題を鋭く浮かび上がらせる。
表面の言葉と裏で働く力学のズレに気づいたとき、世界は反転し、読後の再読がまったく異なる意味を持ち始めるはずです。
読者に誤解させるためではなく、物語の体験をより深い場所へ進めるために。
タイトルで読者を誘導することは、私にとって物語を紡ぐ上での大切な「遊び」でもあります。
さて、改めて。
みなさんは、こういう“タイトル詐欺”、お好きでしょうか。
今回はうまく誘導できてたでしょうか?