※注意※
この番外編には、5/11(月)7:00~公開予定の、異端のダークヒーラーの本編の第303話「事件解決とペナルティ」のエピソードに関する内容が含まれています。
まだそちらをお読みでない方は、そちらからご覧下さい。
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「──きて……起きて……アネモネ……」
誰かが、自分を呼ぶ声がした。
「起きて。アネモネ、起きてってば」
「ん、んん……」
聞き慣れた、のっぺりとした少女の声。
アネモネの意識がゆっくりと浮上し始めた。
「ん? うんん……キンセンカ……?」
「アネモネ、ようやく目が覚めたんだねぇ」
「ん……んん?」
アネモネはショボショボとする目を擦り、ゆっくりと開く。
ベッドサイドからキンセンカがこちらを覗き込んでいた。
「なんでキンセンカが、私の部屋に……? 夢……?」
「寝ぼけてるねぇ」
「じゃ、これは夢じゃない……って、あれ?」
夢と現実の境がまだハッキリとつかないまま天井を眺めつつ。
ふと疑問に思う。
「そもそも私、いつの間に寝てたんだっけ……」
「アネモネはね、新種のジェリーワームを使ったジェリーワーム浴で、ものすご~く長い時間眠っていたんだよ」
「……あぁ、そういえば」
キンセンカの言葉で、おぼろげに自分の状況を思い出す。
そうだった。
確か、部屋でジェリーワーム浴を受けたんだったっけ。
そのあとにそのまま眠ってしまった、ということかな?
「それで、キンセンカ。私、どれくらい寝てたの?」
「んとねぇ、百年」
「……百年?」
「うん。百年だよぉ」
「えぇ? へへへ」
キンセンカがずいぶんと真面目な顔で冗談を言うものだから、つい笑ってしまった。
「おバカだなぁ。そんなに眠れるものなら一度眠ってみたいものだよ」
「爆睡してたよぉ」
「もー……その冗談まだ続けるの? だいいち、百年も寝てたら、人間のキウイなんてもうとっくに死んじゃってるじゃないか」
「……死んじゃったよぉ」
「……え?」
パチリ、と。
アネモネは思わず目を見開いてしまった。
「じょ、冗談……だよね?」
「キウイだけじゃない。この世界の多くが、アネモネが眠っている間に滅びてしまったんだよぉ」
「ウソ……」
「ううん、ホントだよぉ」
顔を青ざめさせたアネモネへと、キンセンカは真顔のままなおも言葉を続けた。
「アネモネが眠りに就いて二十年が過ぎたころ、キウイの全人類魔人化実験が失敗して大爆発。大陸中の緑が消え去ってしまったんだ。それを機に世界は食糧を巡る戦争状態に突入。世界人口は千分の一となり、生き残っているエルフはもはや僕たちだけ……」
「そ、そんな……! わ、私が寝ている間に、なんてこっただよ……!」
なんていうディストピアだろう。
思わず、頭を抱えた。
そして、ハッ、とする。
遅れて気づいた。
キョロキョロと辺りを見渡す。
だが……いない。
「す、姿が見えないけど、ローズは? まさか、その戦争で……?」
「ううん。生きてるよ」
「よ、よかった……」
「でもね、ヨボヨボのお婆ちゃんになっちゃったんだ……」
「えぇっ!?」
あまりに予想外の状況に、一瞬、頭が真っ白になった。
だが、すぐに深呼吸。
気を落ち着ける。
「い、いやいや、さすがにそれはウソだよ。私たちエルフは聖力の器が一定以上になって以降、不老だもの。お婆ちゃんにはなれないよ」
「お婆ちゃんになっちゃったんじゃよぉ」
「『じゃよぉ』ッ!? キンセンカ、語尾がッ!」
「アネモネが眠りに就いて五十年が過ぎたころ。恋占いの名手を目指したローズは、大衆に<魔都の母>と呼ばれ親しまれるための老化聖術の開発実験中、大爆発を引き起こしてしまったんだ。それによって、僕たちエルフはみんな話し言葉がお婆ちゃん化し、爆発の中心にいたローズは、見るからに凄腕の占い師っぽいお婆ちゃんに変身してしまったんじゃよぉ」
「そんなっ……! それじゃあ、ローズは今……?」
「膝関節が痛むから、階段を上らなくて済む一階の部屋で暮らしているんじゃよぉ」
「なんてこった! そんなの本当にヨボヨボのお婆ちゃんじゃないかっ!」
「──誰がお婆ちゃんだ」
アネモネが驚きのあまり上体を起こした、ちょうどその時。
ドアを開けて、もう一つの聞き馴染みのある声が響く。
部屋へと入ってきたのは、赤髪で、二十歳前後の外見の、アネモネのよく知る女エルフ──ローズその人だ。
「ローズッ!」
「よかった。ちゃんと目は覚めたようだな……」
「えっ、えっ!? ヨボヨボのお婆ちゃんになったんじゃ……!?」
「何の話だ、バカ。なってたまるか」
「あれ……?」
アネモネが首を傾げ、キンセンカを見る。
すると、キンセンカはベッと舌を出した。
そこでようやくアネモネは「あっ」と。
全てを悟った。
「な、なんだ、ウソか……じゃあキウイたちが死んだっていうのも……」
「ウソだよぉ。むしろよく信じたよねぇ」
「寝起きだもん。そっかウソか、なんだぁ。よかった~」
アネモネは大きなため息をつくと。
グゥゥゥと。
お腹を鳴らした。
「なんだかホッとしたらお腹が空いちゃったよ」
ベッドから立ち上がると、グッと上に伸びをした。
「今何時? ご飯食べていい時間? 食堂に行こうよ」
「昼だ。昼食の準備はできている……が、その前に」
ローズはそう答えつつ。
スッ、と。
手にしていた聖杖を振るう。
「オシオキが先だ」
光の輪が二つ現れたかと思うと、それはアネモネの両腕と両脚へとハマり、キュッと締まる。
直立状態でアネモネは拘束されていた。
「えっ、ロ、ローズ……?」
「アネモネ……私たちにウソを吐いたな?」
「えっ、えっ、えっ……とぉ……?」
「ジェリーワーム浴」
ローズの言葉に、アネモネは表情をハッとさせた。
「シャワーを浴びるとウソをついて、キウイの部屋から勝手に拾って、そして勝手に使ったジェリーワームで勝手に気絶して……私たちがいったいどれだけ心配したか」
「そ、それについては、その、ご、ごめん──」
ズルゥッ!
シュポンッ!
その謝罪を言い終える前にアネモネの下半身に炸裂したのは、ローズによる、目にも留まらぬ光の速さでのズボン降ろし。
その勢いは中身のパンツまで到達。
その両方を一息でアネモネのくるぶしまで引き下げてみせた。
「こっ、この攻撃はっ! まさかっ……!?」
身動きの取れないアネモネは、なすすべなくローズのもとに倒れ込む。
「懐かしいな。コレをするのは、アネモネがふざけて集落にあった私の家を1日1cm自分の家へと引き寄せていた件以来、百年ぶりくらいじゃないか」
ローズはアネモネのその体を、自らの膝の上に載せた。
そしてその手を添えるは、あらわになったアネモネの白く丸い尻。
「ローズゥッ! ごめんごめん! ごめんなさいっ! それだけは勘弁して! ローズのモンスター級腕力で叩かれると、数日尻が腫れて仰向けで寝れないんだよぉ!」
「問答無用──体で反省しろ、アネモネ」
スゥゥゥ──ッ。
ローズの広げた手のひら。
それは水平に大きく振りかぶられ。
そして。
──バッチィィィンッッッ!
「ひぎぃッッッ!?!??!」
アラヤ家に響く炸裂音と、エルフの悲鳴。
それはその後、99回にわたり続いたという──。
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タイトル:
死にゲーオタクのリトライ無双
あらすじ:
リトライ仕様のある<死にゲー>的な異世界に転生したただの死にゲーオタクが、他の元勇者などの転生英雄たちが心折られていく中で、一人だけウキウキとスキルや装備をそろえて自分をビルドし、異世界攻略を目指す。
【死にゲー異世界×努力無双】なダークファンタジー小説です。
↓以下作品1話リンク
https://kakuyomu.jp/works/16818093079859276564/episodes/16818093079859291597
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