この物語を書き始めたとき、私は戦いを書こうと思いませんでした。
むしろ、戦いが起こる前にすべてが終わってしまうような存在に惹かれていたのかもしれません。
執筆のきっかけを辿れば、おそらく「オーバーロード」だと思います。
アインズが闘技場に観戦に来た皇帝の前に突然現れるシーン。
あの存在感だけで空気が変わる瞬間は、心がシビレました。
ただ、私が書きたかったのは、アインズのような支配者ではありません。
私の不死王はもっと人間くさくて、できないことがたくさんある。
そして取り巻きが少なく、妄信的な信者もいない。
この作品では側近が限られているからこそ、不死王と人々の距離が近いです。
本人は一人ですることが山積みなので大変だと思います。でも、その近さが色々なドラマを生み出してくれました。
不死王は圧倒的な存在でありながら、国を支配するのではなく、ただ観察している。
必要なときだけ、そっと手を伸ばす。
そんな距離感が、私にはとても心地よく感じています。
外側から見ればホラーで、内側から見ればユーモア。
永遠の存在と、有限の人間たち。
その対比が、物語を自然に動かしてくれました。
特に、ヨトフのエピソードを書いたとき、感情を強く揺さぶられました。
ずっと先の話なので公開していませんが、すでに書き上げています。
そのエピソードを読むたびに、涙がにじんでしまいます。
この作品は、派手な戦いも、壮大な冒険もありません。
ただ、静かに世界が変わっていく物語です。
不死王は今日も、城の最上階から、次の王をこっそり見守りながら、のほほんと暮らしているのかもしれません。
そんな平和な世界を、これからも少しずつ書き続けていけたらと思っています。