【『天狗の声』最終話】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894695090/episodes/16816452220080215058 ようやく書き切りました。あくまで次の章の『滑瓢の歌』に続く前哨戦に近い立ち位置のため、作品の内容としては濃いものではないですが、何とか10話分を書き上げることが出来ました
元々構想時点で「第四章で香織が事件に巻き込まれる」という点と「その巻き込まれた要因に益子美紗も関わっている」という点は考えていたのですが、どのような事件に香織が巻き込まれ、どういった形で益子美紗が関わるのか。実は『犬神の家』執筆時点でも完成していませんでした。
最終的には、香織が誘拐される事件とし、謎解きとしては「何故誘拐されたのか」と「何処へ誘拐されたのか」という二点に絞りました。犯人が誰なのかは、個人名まで特定できていなくとも、その苗字までは明かされていますからね。
第四章は、これまで登場した人物しか出ていませんでしたね。
・安達友久:大学一年生。19歳。自身も経験があったため、銀歯ラジオを知っていた。
・鳴瀬小夜子:大学二年生。20歳。登山サークルに入っており、ここから近い山、宝天山を知っていた。
・犬養柴乃:大学二年生。20歳。『犬神の家』編における依頼者の立場だったが、今回は協力者。お金持ちの家系であったことが幸いしたのか、滑志田家を知っていた。
・堂崎美琴:高校一年生。16歳。香織の同級生で、見た目だけ不良な優等生。『百々目鬼の涙』における依頼者の立場。ある意味香織が誘拐される要因を作った人物でもあるが、そもそも美琴が待ち合わせ場所に来ない香織を心配して小春に連絡していなければ、もしかしたらあの非通知を取らなかったかもしれない。
・海野沙織:高校一年生。16歳。今回は台詞なし。おとなしい子なのに、美琴や香織と一緒にロックバンドのコンサートに一緒に行くほど仲良くなってる。何があった……。
今回のタイトル『天狗の声』は、非通知の電話から「声だけで情報のやり取りをする」、「天狗の幻聴になぞらえた銀歯ラジオ」「天狗攫いに例えた誘拐」「誘拐先が山」と、シチュエーションに天狗が合いそうだったため、天狗になりました。
元々は銀歯ラジオが大きな謎解きのトリックになる予定でしたが、それはあくまでも「誘拐場所の特定」に用いるということに落ち着きました。
個人的な作品としての出来は、これまでの『塵塚怪王の木』『百々目鬼の涙』『犬神の家』と比べると、少し劣ってるな、という感想。やはり最初に考えた塵塚怪王や、年月設定を綿密に練った犬神と比べると、アッサリとした話になったかなと思っています。
次回、しばらくお休みを頂いて、6月に入るまでに『滑瓢の歌』を開始します。滑志田家と瓢家の因縁とはいったい? お楽しみに!