来年もまた会おうと誓った場所に彼は来ない。それでも彼女は晴れ晴れとした顔で、約束の地に立つ。まぶたを閉じれば薄暗がりの中に桜が散り。郷愁に似た想いと向き合えば、まだ追憶に浸れる…

　企画用。 　九割、手紙。 　話の切り方を迷いました。具体的に言うと、種明かしをするか否か。

水底の楽園は崩れ去り、人魚たちの平和な日々は今や、透明な夢と化した。密猟者たちに捕らえられた人魚は奴隷として売り払われる時を待つ。刻限が迫るような絶望的な状況下、奇跡が起こる。そ…

　企画用。 　今は華やかでルージュが似合う女性だが、かつての彼女はどちらかというと地味な存在だった。そんな彼女がなぜ今のように着飾るようになったのか。全てはレモン味の初恋にの中…

少年と少女は夏の終わりに、様々な思い出を語り合い、未来への希望を口に出す。しかし、二人は知っていた。互いにとっての同じ夏は訪れないことを。

いわくつきの宿で殺人事件が起きた。 本来なら詮索無用。治安維持隊も即、手を引いた。彼らは揃って真実は分からないと言うけれど、犯人は明らかにロゼという名の娘だった。 彼女の一族は殺…

『世間を戦慄させた桜の木殺人死体遺棄事件より一年、犯人はまだ捕まっておりません』街頭テレビが厳正な面持ちで伝えるのを聞き流す青年、森谷紅。どちらかというと灰色のほうが似合う彼はマ…

　夜高明日佳は将来の夢も希望も持たず、のらりくらりと日々をやり過ごしていた。 　ある日ぐるぐると環状線を廻っていた彼女は、いつの間にかおかしな領域に迷い込んでしまう。異界を彷彿と…