「アキラメロ。今のお前じゃ勝てねぇよ。おめーらは何度でも蘇るんだろ?」
彼女を乗っ取ったやつが言う。
それだけで、走る怒りを抑えて頭を回す。
あぁ、奴の言う通り、ここはゲームの世界で私はプレーヤー。
死んでも生き返る。今回がだめでも次、もう一度挑めばいい。
「……そうだなぁ。また後で……」
そうして、自分の首に刀を添えて……。
……もしも、そのもう一度がなかったら?
ボクの頭に声が響いた。
彼女は何と言った?なんと約束した?
「助けてっといった。何があってもボクが、俺が助けるといった。」
もしも誰かが倒したら、彼女との約束を果たせない。
いくらでも死ねる状況で、今の勝負を恐れ、出来ないと決めつけ逃げようとしている?
なぜ約束が果たせる可能性があるのにあきらめる?
「あっていいわけがないだろ!!」
自身を激励し、落ちた気持ちをもう一度奮い立たせる。
そうして、もう一度、奴のほうを見て……気付く。
はは……本当になんであきらめようとしてたんだ。
頭に血が上ると本当に、注意力が散漫になるらしい。
首に添えてあった刀を放す。
そして、もう一度立ち上がる。
「立ち上がるか。ならば、この小娘の最大の技をもって殺してやろう」
「ほぉ。そりゃすごいな」
奴は彼女の右腕の一部を嚙み、そこから出る大量の血を一本の槍へと変える。
その槍はいつもとは違う禍々しい光を纏っていた。
「【偽槍グングニル】」
その槍は満を持して放たれる。
当たれば死ぬ。
しかし、ボロボロのボクではもう避けられないだろう。
ただ、そんな必要なんてないわけだが。
そうして放たれた瞬間に出来た魔力の靄が晴れて……
「はっ!?」
いまだに立っている。
明後日の方向へ飛んでいった槍を見据え、嘲笑う。
「どうした?お前の槍。明後日の方向へ飛んでったぞ?」