はじめまして、あるいはお久しぶりです。星 霄華です。
新作「巫女の一手」が完結しました。読んでいただいた方々、お付き合いいただきありがとうございました。
この作品を最初に執筆したのは、ずっと前のこと。人狼ゲームの生放送を見て将棋の棋士さんたちに興味を持ったのがきっかけで、人間対将棋ソフトの団体戦も視聴しまして。さらにその後も将棋の生放送をいくつか視聴し、「よし、駒と盤がホログラムみたいに浮かびあがったり、駒が勝手に動くようにしたらファンタジーやれんじゃね?」と思いついたのがきっかけでした。我ながら無理やりすぎるな……。
その後、落選したり改稿したりを経て放置していたのですが、このたびまた投稿しようと思いたち。大幅に加筆修正を加えました。場面を追加したり、元々あった場面の配置を変えたり。設定を少々変えたり。登場人物の心理描写を掘り下げたり。
勝負に挑む者たちの熱い想いが少しでも伝わったらさいわいです。
では、設定裏話を。
・八意たちの郷里
八意たちが生まれ育った場所は、名前が浮かばなかったのであえて無名に。山浪と海太はいくつかの案を経て決定だったのですが……。
名前や描写で、大体どこの辺りが参考なのかわかる人はわかるかもしれません。
・賢宮神社
実際将棋会館の近くに神社があるっていうし、という軽い気持ちで登場が決定。元々は別の名前だったのですが、思兼神にちなんでそうな名前のほうがいいよね、ということで改名しました。
・棋考横丁&【千仙堂】
特定の分野に絞った横丁か商店街があるといいよねという、必要性と趣味により登場が決定。観光地に近い賑わいのイメージです。
【千仙堂】は、高級店らしい格式ある名前に、と頭をひねって命名。単に道具を売る店というだけでなく、棋士や愛好家の交流の場にもなっている設定。晴季もここにはたまに顔を出しにきてます。
・【赤城荘】
明治あたりは開発が進んでお洒落な異国の建物が多い街並みになってるのはごくごく一部だけで、渋谷もまだのどかな集落だったよな確か……ということで、都会からちょっと離れた場所にあるイメージ。町から少し離れるだけで田畑が広がってるかも……な感じです。
・賢木八意
主人公。巫女っぽいというか、神事に関わる名前にせねばというコンセプトで「賢木」に決定。
おっとりだけど、何気に頑固。祖母の影響もあって神への祈りは欠かさない、という一面も。信心深さと棋考への情熱以外は、普通の女の子……のはず。
勝つべき相手という認識が根っこにあるので、晴季を異性と意識してません。あくまでも師匠、もしくは頼りになるお兄ちゃんな感じ。構われるのは嬉しい反面、とんでもないお値段の物をぽんと寄越してくるのにはいつもびっくり。
信心深かったり棋考に夢中だったりのため、故郷ではあまり友達がいなかった設定。でもそんなに気にしてないです。
・天野晴季
姓は江戸時代にいた天才将棋士の天野宗歩が元ネタ。名前は、陰陽師の安倍晴明の「晴」と組み合わせました。
ともかくツンデレ野郎にと描写を心がけているうち、加筆修正するほどデレのほうが前面に出てきてしまい、これはツンデレなんだろうかと思わないでもなかったり。叔父さんにからかわれてはキレてますし。クールってなんだったっけ。
八意はあくまでも大事な弟子、大切な存在という認識で、惚れたとかそういうのではないです。しかし打倒師匠なあたり、結局は似た者同士な師弟という……。
なお、叔父の屋敷で世話になっている頃に一門の人たちと色々とあって、料理は自分でするようになった裏設定。
・神部重治
加筆修正前の姓は「青山」だったのですが勝彦も「山」がつく姓なので、二人まとめて改姓。八意と同じく神事っぽいものにしました。重治はもちろん竹中半兵衛が元ネタで、賢そうだからという安直さ。
最低限の教育しか受けられず、人との関りもごく狭く普通とは言えない生い立ち設定なため、賢いけれど精神的には幼さが見えるようにと描写を意識しました。
直家や和雅の知人たちにも、容姿と素直さで大層可愛がられてる設定。特におばさま方からの人気は半端ないと思います。
・三岸勝彦
元々は「山城」姓だったので、加筆修正に合わせて改姓。「〇〇彦」にしたかったからこの名前になりました。
ともかく苦労人だという面ばかり強調していたので、加筆修正にあたっては未成年二人の引率的な面を見せたり、他の人とも上手くやれている一幕を追加。棋考道場の運営側という設定も足して、どうにもならない身の上でももがき、周囲に頼りにされている複雑さを見せようと画策しました。ある意味一番、生身の人間らしいかも……。
・赤城圭太
加筆修正にあたって、一番出番が増えたキャラ。設定はそのままに、重治との友情をしっかり見せるように一幕を追加したり、場面の誘導役として活躍してもらいました。
八意には疎開先で色々とよくしてくれた、ということで好意を抱くように。でも恋愛なのか友情なのか、といったところです。八意ちゃんと一緒に暮らせるんだ! とうっきうきで母親に呆れられていたのは内緒。
異能持ちで隠し事のある友達が二人いても「でも、いい奴だし」で終了なのは、懐が大きいから……多分。ともかく明るくて気のいい子です。
・天野直家
「晴」が多いから別の名前にしようと思って適当につけて、あとになって「そーいえば宇喜多直家って戦国武将いなかったっけ」と思いだしたり。
狸な見た目で中身も狸、でも棋考に対する情熱は本物な人。
将来有望だからと幼少期から容赦なく鍛え、時にからかい倒してきた甥っ子は今でも生意気な若造。八意を守るのに必死なのも、それはそれは面白がってます。悪いおじさん……。
でも重治のことは、普通に可愛がってます。たまに会いにいっては、よしよしと頭を撫でてやってる……はず。
・大峰和雅
風流な名前を~といういい加減なノリで命名した記憶。
歳の割に幼い振舞いの重治を、心から大事にしてます。でもって晴季も不愛想だけど礼儀正しいいい子だよねえ、な感じ。
直家とも腹を割って話せるあたり、八意も薄々気づいてますがただものではない店主さんです。
・孝信&彬
孝信は、元々は名無しだったのですが加筆修正にあたって適当に命名。ともかく極悪人らしく、を念頭にして書いてみました。
彬は、無邪気な悪がコンセプト。基本的にはただのわがままで素直な坊やなのですけどね。