以前にNHK俳句の堀田季何先生の解説で、固有名詞を使った俳句がありました。
人名や地名だけでなく、NHKの放送で商品名や企業名を使った句もあったのが驚きでした。確か夏井いつき先生も、文芸になるとNHKでも許容されてきていると話されていました。
もちろん、固有名詞を使うと俳句の難易度は上がります。固有名詞次第では、季語以上の力を持ってしまい、全体のバランスが取れなくなる。しかし、例句には選者の高野ムツオ先生のナウシカの句があしました。
それならばワンチャンあるんじゃないっていう不純な動機です。とういうと訳で、堀田季何先生の兼題「鳥の巣」と、高野ムツオ先生の兼題「島」にジブリ句で挑戦しました。
そしてそして挑戦の結果は、1つが「佳作」となる大成功でした!
NHK俳句2026年6月号佳作
堀田季何選【兼題:鳥の巣】
■鳥の巣やシータが落ちてきそうな日
高野ムツオ選【兼題:島】
■道なりは島のかたちや汗拭ひ
固有名詞を入れた成功句は、堀田季何先生の兼題「鳥の巣」でした。落ちてくるシータといえば、もちろん天空の城ラピュタの「シータ」ですね!
鳥の巣が出来ていることに気付く。空からシータが落ちてきても受け止めてくれそうな、そんな立派な鳥の巣。でも嫌なイメージのある鳥の巣は、海賊ドーラさんも予感させるかも。
上五の詠嘆「や」は場面転換の効果は弱く、メインは強調効果です。天空の城ラピュタの「シータ」ならば、持っている言葉の力は強くなるので、季語の「鳥の巣」を強調します。もちろん空からシータが落ちてきそうなら、視線は自然と空へと変わります。
また「シータが」と敢えて助詞の「が」を使いました。普通であれぱ「○○○の」とするのですが、アニメ世界の登場人物で絶対に落ちてくるはずのないものなので「シータが」と強い助詞を選びました。
堀田季何先生は、韻律の解説も多いので、「シー」・「ち」・「き」・「日」と「い音」を意識しています。
高野ムツオ先生の兼題「島」の句は「島」=「ラピュタ」の発想でしたが、そちらの句はダメでした。ちなにみ紅の豚の「飛ばねぇ豚はただの豚だ」を掛け合わせています。
採られた句は、鳥の巣の詠嘆の「や」とは違い、場面転換の「や」です。「道なりは島のかたち」は、類想に近いかなと感じていました。他にも、島に1つだけの信号機は類想だそうです。だからこそ場面転換の「や」が必要でした。
「道なりは島のかたち」では、平面的で地図やカーナビを見ている印象もあります。そこからの場面転換で、下五の「汗拭ひ」に繋げました。「汗」が出てくることで実際に島にいる雰囲気が出ます。そして「汗拭ふ」・「拭ふ汗」となるのですが、「汗拭ひ」と連用止めへの挑戦。現在進行形の「をり」を省略したイメージにならないかと? 本命句ではないので出来ることですが……。他にも小さな島のイメージなので、平仮名表記で「かたち」としています。
こんな感じで、下心や遊び心が混ざった投句生活でした。