ここまで読んでくださった皆さまに、心から感謝いたします。
今回の物語を書き始めたときから、猫しかもらえなかったと嘆く、粉挽きの三男ルネに——
「思えば……僕が本当に欲しかったものは、この物語のいちばん最初に手に入れてたんだ。」
このセリフを言わせたい、という思いがありました。
そして、その言葉に対して猫のコレットが
「……そ、そうなんだ///」
あるいは
「……そ、そうなのか///」
と照れながら返す。
そのやりとりを描きたい——そこからすべての物語が始まったのです。
本来の「長靴をはいた猫」にある狡猾さはあえて取り除き、
代わりにコレットの優しさと、ルネのまっすぐさを物語の軸に据えました。
そこに“素朴な幸せ”を重ねることで、
子どもが読めば楽しく、大人が読めば考えさせられる——
そんな「日本昔ばなし」のような雰囲気を目指しました。
そして最後は、“背伸びしない幸せ”をテーマに物語を閉じています。
幸せとは、決して遠くや大きなものではなく、
すでに身近にあって、気づかぬうちに手にしているものかもしれません。
素直に生きることもまた、確かな幸せの選択肢のひとつ。
無理に飾ったり、ウソをついたりする必要はないのです。
読んでくださった方の心に、少しでもあたたかい余韻が残れば嬉しいです。
