この手記が公開される頃には、もう、わたくし、『悪役令嬢』オリヴィア・L・ヒューレットは、『王太子殿下』の『恋人』である『平民の娘』を虐げた罪で、『聖剣』による『審判の刑』に処されているわよね。
うふふ。
わたくしの肉体は、どうなっているのかしら?
『審判の聖剣』でわたくしの心臓を貫かれたすぐ後なら、死後硬直の最中かしら。
もう死後硬直は解けて、わたくしの肉体が弛緩している?
もっと後かしら?
肉体は腐敗して、虫でも湧いている頃?
100日間も、屋根もない円形闘技場の中央で、さらし者になっているのだから……、少なくともドレスや肉体は、埃や雨風によって汚れているかもしれないわね。
それとも……生前と変わらず、ただ眠っているかのように、罪人の椅子に座らせられているのかしら?
ふふふ。
『聖剣の騎士』が、その『聖剣』によって、罪人とされた者の心臓を貫く。
罪人とされた者が本当に悪であれば、死ぬ。
だけど、冤罪による無実であれば、『聖剣』で心臓を突かれた後、100日後に復活を遂げる。
……と、言っても、我が国の初代建国王が、そうやって死後100日後に復活を果たしたという『伝説』があるだけなのよね。
『聖剣』自体は本物というか、不思議な力があるの。
だって、罪人の体を『聖剣』で切ったとしても、血は流れないのだもの。
血が流れないから、残虐に見えない。
だから、かしら?
今ではもう『審判の刑』なんて、『公開処刑』という娯楽になり果てているわね。
残虐な見世物。
けれど、残虐過ぎない。
しかも、冤罪であれば、100日後に復活を果たすかもしれないというオマケ付き。
ふふふ。
わたくしは、もう少しでその刑に処されるの。
王族、貴族、平民。身分さを問わず、皆様の娯楽になることができれば嬉しいわ。
なんてね。
ああ、でも。
わたくしが、わたくしの刑を楽しみにしているのは本当なの。
もう何年も前から待ちわびているの。
だって、『審判の刑』を実行するのは。
『聖剣の騎士』であるディラン・A・フォスター様なのだもの。
白銀の短めの髪。
青く晴れ渡った碧空の色の瞳。
すっと伸びた背筋。
わたくしはディラン様に、再びお会いするために、この『審判の刑』を受け入れたのよ。
うふふ。
早くお会いしたいわ。
え?
わたくしの婚約者であるエリオット・G・グレンヴィル殿下が、平民の恋人を作り、嫉妬によって、その平民の娘を虐げたから、わたくしは、刑に処されるのではないのかって?
まあっ!
エリオット殿下なんて、どうでもいいのよ。
王命だから、婚約を受けざるを得なかっただけ。
愛していないどころか、興味すらないわ。
恋人? いくらでも作ればいいのよ。わたくしには関係がない。
まあ、でも、冤罪でも、わたくしを『審判の刑』に処してくださるのだから、ありがたく『悪役令嬢』の汚名でも着させていただきましょうか。
感謝いたしますわ、エリオット殿下。わたくしを冤罪にかけてくださって。
王族であるエリオット殿下が平民の娘と結ばれるために、わたくしという婚約者を『悪役令嬢』に仕立て上げ、そして『審判の刑』という名の『公開処刑』で、大々的にわたくしを断罪する。
そのくらいしなければ、平民の娘を王子妃にすることなんて不可能だとお考えのことですものねぇ。
流行の小説や演劇でも参考にしたのかしら?
ええ、まったく。エリオット殿下の叡智には拍手を送りたいほどですわ。
ありがとうございます。
おかげでわたくしは、愛するディラン・A・フォスター様に会うことができる。
うふふ。
あら、前振りが長くなってしまいましたわね、ごめんなさい。
ここからは、時系列の順に、わたくし、オリヴィア・L・ヒューレットが、なぜわたくしの『公開処刑』を望むのかを、お話させていただきましょう。
そう、あれはわたくしがまだ十歳だったとき。初めてディラン・A・フォスター様にお会いしたとき。
あの薔薇園で、誓い合った、愛……。うふふふふふ。
皆様、聞いていただけます?
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かなーり前から、次の連載はこれでーっすと言いつつ、全然書けなかったお話です。
『処刑された悪役令嬢は100日後に復活するか』
現在、コミカライズのお仕事と、書籍化のお仕事を、ありがたいことにいただいておりまして。そちらに全力を傾けております!
がっ!
この話もさすがにそろそろ書きたい……。
なので。
書籍化やコミカライズ担当様に「●●はどーですかー」とか聞いて、そのお返事が返ってくる合間に……合間に……、少しでも時間があれば……。
書いて行こうかなっと。
投稿できるほど、書式が整っていない殴り書き……
えーと、マンガで言えば、ネームみたいなものですが。
時折、書き散らしますので、お読みいただければ幸いです