明日からいよいよ新作、「ミュータント・ロックスター!」が始まります!
ここでは一足先に、第1話の冒頭部分を公開します。お試し感覚で是非どうぞ〜
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「おとね、ゴメンだけどさ……このバンド抜けてくれない?」
練習の為に集まったスタジオで、私はいきなりそう告げられた。
「えっ、抜けてって……どういう事ですか?」
「そのままの意味だよ。いやでも、おとねが悪いって訳じゃなくてね……。ただ、私達とおとねとじゃ、技術も熱量も違いすぎるからさ。正直ちょっと、疲れちゃった」
「疲れちゃったって……なんでですかリーダー! このバンドで天下取るんじゃなかったんですか⁉」
「そういう所だろ。俺達はあくまで趣味でやってるコピーバンド。それでも良いって言うから入れたってのに……無駄に暑苦しいしギターも上手いし。ぶっちゃけ場違いだと思うんだよな」
ベースの先輩が容赦なく言い放つ。私の心に陰りが見え始めた。
「ちょっと、そこまで言わなくても……」
「大体おとねって保馬《やすま》大なんだろ? 馬鹿大学って有名のさ。それなのにいっつも偉そうに存在感出しちゃって? 正直ムカつくんだよ。そういうのはさ、他所でやっててくれない?」
「……そうですか。ならもういいです。さようなら」
「おとね……」
どんなに頑張っても、私は場違いなのかな。私の夢は結局、空回りしかしないのかな。
これ以上、私の「熱」を否定されたくなかった。私は逃げるようにして、スタジオを後にした。