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ギフト御礼/メイキング

いつもお読みいただきありがとうございます。
いただいたらこの更新をもってお礼に返させていただきたいという気持ちを込めて次の更新に合わせてギフトお礼をしているのですが、また改稿に時間を取られておりまして…。
なので、別途お礼の近況ノートを書かせていただいています。
namasute7様にギフトをいただきました。
長期でご支援いただき、いつもコメントもありがとうございます。支えられています。゚(゚´ω`゚)゚。
書き出すのに一番苦戦しているキャラクターなので、前作も読んでいただいている方にらしいと言ってもらえて良かったです。

これだけ長いとモチベーションが下がったり、自分の展開に繋げず苦しむこともままあって、応援してもらっているから!となってふんばって書けています。ありがとうございます😭
サポーター限定公開とかなにか出来るほど器用ならいいのですが、逆にそれなしでご支援いただいていること、大変ありがたく思っています。

ただお礼だけで済ませるのもなんなので、身を切って改稿前の原稿などをお見せして改稿に時間がかかる理由を見ていただこうかなという心待ちです。
これは当社比で改稿が少なかった話ですね。
改稿で削られている部分はそこにそのセリフを置く必然性がなかったから、そのキャラクターにそぐわないから、話の流れが不自然だから辺りです。
没った部分は、気の迷いとして書いたものも、要素としては持っているものもあり、どこかで別の形で出す可能もありますが、本編に載っていない要素は無い要素と思っていただければと思います。

out of takes——婚約の許し

「結局まとまっちゃったんだ。もう少しもだもだしてた方が面白かったのに」

 ソフィアが半分に切った林檎をもう半分に切る前にベットで体を起こしたオリヴェルの口に突っ込んだ。

「うっ……! ひょんなおっきいの……ムリィ」

「貴方みたいなボケマラには当然の仕打ちです! ほんっとに! ひっかきまわされて!!」

「そおぶん、まとまった時はもりあがったデショ? そのままヤッちゃった?」

「ソフィア、残ったもう半分も口に突っ込んでしまったら?」

「ひゃめて! ちっそくしちゃう! 助かったいのち、大切にさせて!!」

 もぐもぐと口を動かし林檎を咀嚼して素の顔で笑ったオリヴェルを見て、地下での彼の様子を見ていたリアムは安堵する。
 迷惑な男だが嫌いきれない愛嬌があると思うのは彼に対する警戒が薄れたせいだ。

「で、サミュエル閣下にも報告したの? お二人さん」

 林檎を飲み込んで尋ねたオリヴェルへ、ソフィアの視線の棘が刺さる。

「そう、それですわ! ゲロヴェルお兄様に改名したらいかが? 吐瀉物以下の煽りでわたくしたちのことをかき混ぜてさぞ楽しかったでしょうね」

「かき混ぜられる程度の気持ちでまとまろうってのが、片腹痛いんだヨ。従妹殿も殿下ちゃんも」

 ぱちりとウインクをする男に苛立ちが募る。
 前言撤回、この男、やはり人の神経を逆撫でするのが実にうまい。
つい昨日のことだ。ベルニカ公爵サミュエルがごく少人数の供を連れて王宮に入った。
 王都での騒乱に合わせノーザンバラ帝国は連合王国の国境を侵犯した。だがそちらについてはヴィルヘルムが予想を立てており、準備万端整えたサミュエル率いるベルニカ騎士団の前にあえなく敗北し撤退していった。
 その報告と王都での六公会議——非公開で行うテオドールやレジーナの裁判——のため、サミュエルは馬を駆って首都へやって来たのだ。
 リアムとソフィアは他のことを後回しにして、急ぎサミュエルに面会した。
 レジーナの件もあるから後回しにした方がいいのではとも思い二人で話し合ったが、どんな邪魔が入るか分からないし、オリヴェルと婚約の話が出るかもしれないから、先に婚約の許可だけは取っておこうと言うことになったのだ。

「ベルニカ公爵、僕達は心から愛し合っています。プロポーズもしました。婚約のお許しをいただけませんか?」

「おう、いいぞ。というか、やーっとその気になったのか? お前ら」

 婿殿はベッドの中も遅いのか? と続けた父親の首を絞めながらソフィアは訊ねた。

「まるでわたくしたちがその気にならなかったから結婚の話が進んでなかった、みたいな事を言うのね。お父様」

「は? なんでその認識なんだ?? 結婚したくなったらヴィルヘルムに報告すればすぐに成せるように整えてあるって伝えてなかったか?」

「「は??」」

 リアムとソフィアの声が重なった。

「オリヴェルお兄様とわたくしの婚約は??」

「なんだそりゃ? あんな不誠実な私生活の腐れチン⚪︎に大切な娘を嫁がせるわけないだろ。というか、なーんでそんな話になってるんだ?」

 自分の不誠実な私生活は棚に上げたサミュエルに問われ、ソフィアはなんとなくオリヴェルに担がれていた事を悟りながら答えた。

「オリヴェルが夜会でわたくしとダンスしたのは、婿候補だからで、結婚して公爵位を後継と争う当て馬役だからと」

「フヒッ……おいおい、オリヴェルのあの性格でベルニカ公爵位の俎上に残ると思っているのか。人品に優れていることも条件だぞ。お前らまんまと担がれたな。イェルドの実力は今やオリヴェルを圧倒して折り紙つきだ。じゃなきゃ戦争後すぐ、俺がこっちに来れるわけないだろ。しかもイェルドは真面目で信義に厚く、品位もある。臣下達には、さっさと公爵位を譲って引退すべきでは? とまで言われてる」

 そう爆笑したサミュエルの言葉に、二人は今まで散々振り回されていたオリヴェルの言動は全てなんの根拠もなかったと悟ったのだ。

「まあ、これだけ回り道をしたんだ。自分の本当の気持ちを見つけられてよかったネ。おめでとう。幸せになるんだヨ」

2個目のリンゴを口に突っ込まんとするソフィアを華麗に避けると、オリヴェルは甘く笑ってレジーナの頭をあやすようにぽんぽんと撫でる。

「やめてください、オリィお兄様!」

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