『本人確認』を完結しました。
ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
この作品の着想は、妻と車で出掛けている時の何気ない会話でした。
次の免許更新でゴールド免許になるという話をしていて、ふと、
「もし誰かが自分になりすまして交通違反をしたらどうなるのだろう」
と思ったのが始まりです。
そこから本人確認や個人情報、存在証明といったテーマへ広がっていきました。
そして今回、この作品を書く中でAIも活用していました。
もちろん発想や設定、テーマ、最終的な判断は自分のものです。
ただ、AIとの対話を通じて物語を組み立てていく体験は初めてでした。
そこで改めて考えたことがあります。
インターネットもスマートフォンもそうですが、ある日突然便利になるわけではありません。
少しずつ便利になり、少しずつ生活に入り込み、気付けば当たり前の存在になっています。
私たちはその変化の途中を確かに体験しているはずなのに、振り返る頃には最初からそこにあったような感覚になります。
AIも今まさにその途中にあるのかもしれません。
『本人確認』という作品も、ある意味ではその感覚と無関係ではありませんでした。
個人情報は本来、生活を便利にするためのものでした。
しかし気付けば、それを持っていることが前提となり、本人であることを証明するために求められるものになっています。
便利だったものが、いつの間にか社会の一部になっている。
その変化は緩やかで、だからこそ気付きにくい。
今回AIと一緒に作品を書きながら、そんなことを何度も考えました。
数年後には、この執筆体験も特別なものではなくなっているのかもしれません。
けれど今はまだ、その変化の途中にいるような気がしています。
改めて、『本人確認』を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。