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霊森ねむ

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  • 2021年3月28日に登録
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nem_tamamori
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  • 1月26日

    第一章が完結しました!

     主人公たちの邂逅と、ラビカルプラネット商隊の旅立ちを描いた第一章『Stargazer』が完結しました。  ここまでお付き合い頂けました事、本当に嬉しく思います! 支えてくださいまして、本当に本当にありがとうございました!  これからは第二章の執筆に入って参ります。ある程度書き溜めてからの公開になるかと思いますので、しばらく更新は止まります。  作品が面白いと感じてくれた方は、是非評価やフォローをお願いします!  せっかくなので(?)、この近況ノートにヴォロノフのおじさんの事と、ミアズマセクターの街に伝わるお伽話を書き残してみます。  ヴォロノフはボクの好きを形にしたようなキャラです。武闘派のスーツが似合うおじさん大好き。  作中では、銃弾を躱す離れ業を披露していますが、それらは全てヴォロノフが身に着けている遺産(レガシー)のアシストのおかげという設定があります。元々は民間軍事会社(PMC)の出身で、その頃のコネなどを使って武器商隊を立ち上げて独立しました。怖くて無慈悲で強いおじさまは、実質シロムの育ての親なのかもしれません。シロムが現実主義に染まっているのは、全てヴォロノフおじさんのおかげです。  最後に、エピソード1『みんなどこへ行ったの?』に出てくるラブの部屋の絵本について。  パラパラとページがめくられるように白い鳥と女の子の物語の一節が作中に登場しました。ここでは、そのお伽話の全文を掲載しておこうと思います。設定を練る際にせっかく創ったものですので!  よろしければ、読んであげてください!  それでは、また第二章でお会いできるのを楽しみにしております!! 誠に誠にありがとうございました!! 『六羽の白い鳥』  夜になると扉の外からはガリガリどんどんと大きい音。それはきっと恐ろしい悪魔が戸を叩く音です。  夜になると窓の外からはガタガタびゅーびゅーと不気味な音。それはきっと悪い鳥がはばたく音です。だから人々はみんな夜をとても畏れていました。  その国は星の裏側にあるものですから、一日のほとんどは真っ暗闇なのです。長い夜のせいで人々はすっかり閉じこもるようになり、空を見上げる事を忘れてしまっていました。  そんな国の真ん中には立派なお城があって、そのお城のてっぺんにはひとりの女の子が閉じ込められていました。女の子は外に出た事が一度もありません。けれどもそれでもいいと思っていました。なぜなら窓から見える外の世界はいつも薄暗くて、人々はいつも俯いてしまっていたからなのでした。陽の光も当らないので花木は枯れ果ててしまっていたからなのでした。夜になると悪魔がやってきて、一晩中扉をドンドンと叩いていくからなのでした。  そんな恐ろしい世界に飛び出す勇気なんて、女の子には全然これっぽっちもありません。とはいっても狭い部屋の中で過ごす毎日はとても退屈です。そうしてる間にいつしか女の子も俯いて日々を過ごすようになってしまいました。  そんなある日のこと。短い昼の間に一羽の白い鳥がどこからか飛んできて、女の子の部屋の窓枠に留まりました。  女の子は驚きました。今までにそんな事一度だってありませんでしたから。けれどもその真っ白い翼はとても高貴な輝きに満ちていて、女の子の視線を釘付けにしました。そしてもう一つ。その鳥のくちばしには一輪の色鮮やかな花が咥えられていました。こんなにも鮮明な色をはなつ花を女の子は見たことがありませんでした。だから彼女は窓を開けてやりながら白い鳥に言いました。 「こんなにもステキな花びらをわたしは見たことがないわ。まるでどこか遠い星の国のものみたい。おまえはいったいどこからやってきたの?」  白い鳥は女の子の手の平の上にそのお花を乗せると、ピヨと小さく鳴き声をあげました。すると花の香りがふわりとたって、女の子のお鼻をくすぐります。その香りにはまるで色があるように感じられました。毎日が真っ暗に見えていた彼女でしたので、それはとても大きな衝撃でした。 「もしかして、お外には真っ暗闇じゃない世界もあるの?」  女の子の問いかけに白い鳥はピヨともう一度小さく鳴くと、その翼を広げて曇る空のかなたへと飛んで行ってしまいました。女の子は手の平の上に乗った一輪の花をしばらく見つめるのでした。  次の日のお昼には、また別の白い鳥が部屋へとやってきました。その子も白い翼を持っていましたが、頭からは一枚の小さい羽根がちょこんとはねていました。  今度はどんなお花を運んできてくれたの?と女の子は聞きますが、そのくちばしは何も咥えてはいません。  女の子はそれでも新しいお客さんが来てくれた事が嬉しくて、とっておきのクッキーと紅茶を出してあげることにしました。白い鳥はクッキーをくちばしで突っつきます。そして喜ぶようにクルリと宙返り。翼を大きくはばたかせて曇った空へと飛んでいきました。一枚の白い羽根がヒラリと女の子の手の平に落ちてきて、わずかなぬくもりを残すのでした。 「あの子ってば、またステキな贈り物をくれたのね」  その夜から扉を叩く悪魔はやってこなくなりました。静かな暗闇の中で、女の子は白い鳥の羽根を胸に抱きながらスヤスヤと眠るのでした。  あまりにもよく眠ったので、朝にはスッキリと目覚める事ができました。すると、コンコンと優しく窓を叩く音がきこえます。女の子は急いで窓を開けてあげると、今度は昨日の羽根の子よりも一回りも小さい白い鳥が入ってきました。  白い鳥は愉快な鳴き声でさえずりながら、女の子の周りをパタパタと飛び回ります。肩に留まってピヨと鳴いては再び踊るように辺りを飛んで。いつしか女の子も一緒になって歌いだすと、小鳥と一緒にステップを踏みました。曇っていた心はたちまちに元気になって、しばらく二人は楽しそうに部屋の中で踊りました。あんまり楽しいものだから、沈んだ気分はすっかり晴れて暗い夜もへっちゃらです。小鳥が帰ったあとも、長い夜がやってきても、女の子の心はニコニコと晴れ渡ったままなのでした。  長い夜が明けて、短い昼が昇ります。いつでも白い鳥が入ってこれるように女の子は部屋の窓を開けていました。しかし、なかなか白い鳥はやって来ません。窓から身を乗り出して辺りを見渡してみますが、曇った空と俯いた人達が見えるだけです。試しに紅茶とクッキーを用意してみますが、誰も遊びに来てはくれません。楽しいステップを思い出して踊ってみせますが、やはり白い鳥は飛んではきませんでした。  やがて陽が落ちて、夜が再び世界を支配し始めます。女の子はとうとう諦めて窓を閉めるしかありません。  ガタガタ  びゅーびゅー  夜になると毎日悪い鳥が羽ばたきます。今日は白い鳥が来てくれませんでしたので、ちょっぴり恐い気持ちが戻ってきてしまいます。すると、突然バサバサと飛び回る音が聞こえたかと思うと白い影が窓の外を横切りました。 「白い鳥さんが来てくれました!」  女の子は思わずそう叫びました。外は相変わらず真っ暗ですが、暗闇を切り裂くように白い鳥が素早く飛んで夜の悪い鳥を追いかけています。悪い鳥は白い鳥の大きな翼に追われ、たまらずどこかへと逃げていくほかありませんでした。  さっきまでの恐い気持ちもすっかりどこかへ飛んでいきました。女の子は、今では夜をまったく恐いとは思いません。それは確かに、女の子の心の中に白い翼が宿り始めたからなのです。  明くる日は嵐のような天気でした。せっかく夜が明けても空は暗いままです。ときおり雷が空を引き裂くようにとどろいて、滝みたいにたくさんの雨をふらせています。  きっとこんな日に外へ出る人はいないだろうと女の子は思いました。それと同時に、こんな日に白い鳥はやって来ないだろうかとも思いました。いいえ、と女の子は首を横に振りました。きっと来る。あの高貴な白い翼は天気なんて関係なく空を駆けるのだと。だからこんなにもひどい雨でも、女の子は窓を開けていました。  たくさんの雨が部屋の中に入り込んできます。強い風が女の子の体を打ちつけます。耳をつんざくような音が部屋中にひびきわたりました。それでも女の子は部屋の窓を開け続けます。  するとその時でした。ふたつの白い影が雨と稲妻の隙間を縫って女の子の部屋へと飛び込んできました。 「いらっしゃい!待ってたよ!」  女の子はその二羽の白い鳥に向かって深くお辞儀をしました。  片方の白い鳥にはとても鋭い鉤爪がついていました。そしてもう片方の白い鳥はとても澄んだ赤い目をしていました。二羽の白い鳥はお辞儀を返すように頷くと、女の子の肩の上へと乗っかります。  鉤爪の鳥はそのくちばしに大きな鍵をぶら下げていました。その鍵はこの部屋を出るための鍵であると、女の子にはすぐにわかりました。女の子がその鍵を受け取ると、鉤爪の鳥は翼を広げて嵐の空へと飛び立っていきました。  赤い目の鳥は真っ直ぐと空を見通していました。その瞳はビードロ玉のように透き通り、様々な情景を映してきらめいていました。きっとこの白い鳥は色んな世界を巡って来たんだと、女の子にはわかりました。  女の子は見てみたいと思いました。あの色鮮やかなお花が一面に咲き誇るその光景を。  人々が陽気に歌って賑やかに踊るその情景を。  昼も夜も勇ましい冒険に満ちたその世界を。  今や恐れるものは何もありません。長い夜も嵐の日も暗闇や悪魔すらも女の子の心を閉じ込めることはできません。その背中には6羽の白い鳥がくれた勇気と希望と幸せがすっかりと宿っているからなのでした。  やがて女の子は扉のノブに手を掛けます。外は真っ暗闇ですが、彼女にはまばゆく輝いてみえるのでした。  その国は星の裏側にありましたので、一日のほとんどは夜でした。けれどもその街は明るく灯されて、色とりどりの花々が咲き誇り、異国の音楽を奏でながら皆愉快に暮らしていました。国の真ん中にはお城があって、そこには女王さまがいて国を治めていました。  その昔女王さまがまだ女の子だった頃、さまざまな世界を自由に旅したといいます。色んな世界の花や野菜の種を持ち帰り、色んな国の歌やおいしいものを持ち帰り、色んな人々の笑顔を持ち帰りました。夜空を見上げれば素敵な星空がある事を知りました。そうして故郷に戻った女王さまは、みんなに勇気と夢と希望を与えました。  それからというもの。夜が長く続くその国ではみんなが空を見上げ、そして幸せに暮らすのでした。 めでたしめでたし