「チル」
「はい?」
「人間界の読者から、理解不能な要望が届いている」
オクト部長は真顔でスマートフォンを差し出した。
そこには、読者コメントが表示されている。
『ちゃんとチルちゃんにトナカイTシャツを用意しているのが、反則級に優しい……!』
「え?あれ用意したのサンタだよな。俺は知らん」
『そして最後はクロヒョウ化 ฅ(•ω•ฅ)』
「……!」
『私もクロヒョウに襲われたいです。』
「なんだ? 意味がわからん……」
『部長って意外とむっつりスケベだ』
「心外だ。あれは、大人の事情だ」
『夏でもトナカイは素敵だなあと、思っていました(笑)』
「いいのか、ほんとに?」
わたくしブナは、数々のコメントをいただきました。
トナカイの絵、チルが描いた絵とオクト部長が悪魔の力で描いた絵、そして最終的な絵。
近況ノートに貼れたらいいですけど……。
夏にトナカイは……需要在りませんよね。
ところが、チルは……。
「わあ、読者さんに見てもらいたいですぅ!」
「どこに需要がある」
「ありますよ。わたし、好きですもん。部長の絵」
オクト部長は露骨に眉をひそめた。
「やめろ。あれは事故だ」
「でも、Tシャツになったじゃないですか」
「……人間界のプリントサービスの暴走かも」
「サンタさん、仕事が早かったですよねぇ」
「サンタも残業あるらしい」
オクト部長は、小さくため息をついた。
「チル」
「はい?」
「本当に、あの絵でいいのか? サンタに返品可能だぞ」
チルは、にっこり答えた。
「わたし、悪魔の力で描いた完璧な絵より、
あっちの方が好きです!!」
「…………」
オクト部長はしばらく黙ったあと、眼鏡を押し上げた。
「……理解不能だな。では、読者の皆さんに問おう」
(下の画像を指さす)
「左上:チルのトナカイ。脚の向きが変だが、かわいいから良しとする」
「うんうん」
「左下:俺の悪魔パワー版。資料参照、完全再現、無駄にハイクオリティだ」
「無駄にね」
「右:俺の実力版(Tシャツ化済)。ただし、生足は判定外だ」
「オクト部長画伯の傑作です!」
ちなみにブナは、どれも好きですが、
オクト部長本人は、「実力版だけは闇に葬りたい」そうです。
みなさんは、どのトナカイが好きですか?
チルが手を挙げた。
「応募者の中から抽選で1名様に、サンタさんからこのTシャツをお送りしまーす!」
「「してない、してない」」