ということでどうもどうものドモホ〇ンリンクルです
いいえなおにゃるですどうも!!!!!
だいぶ推敲を重ねたんじゃないでしょうか、例のアレ。
そうですパレットナイフです!!!!!
最近パレットナイフに関してしかしゃべっていませんね!!!
あ、そうそうパレットナイフって検索すると最初に出てくるのはケーキとかにつかうお菓子用のパレットナイフなんですよね。
そしてパレットナイフ自体長さが6個くらい(もしかしたらもっとあるかも)あるらしいです。一番長い刃渡りで35cm!!!
私の物語に出てくるパレットナイフはもちろん絵画用ですよ。
あの先が尖っているひし形みたいなやつ。ジブリの映画「風立ちぬ」にも出てきたような。もしかしたら出てきてないかもですが!
話がそれてしまった…。
ということで題名通りパレットナイフの初稿(から数回推敲はしており、だいぶ形にはなっている)ものを大公開します!!
いってらっさ~!!
カランコロン。
うちの店のベルは、どうにも間抜けな音がする。
私の手の中で鈍く光るパレットナイフを見つめ、何とも言えない後悔を感じた。
生きていくすべであることは変わりない。
選んだのは私であることも変わりない。
でも、こんな日常は望んでない。
***
それは、ある昼下がりのことだった。
「すみません、ここで”取り戻せる”と聞いて」
入ってきたのは50代くらいだろうか、すこし灰色がかった髪色をした女性。
彼女は不安な顔をしていて、手に持ったものをこちらに差し出した。
「えぇ、もっとも、ここは取り戻し屋ですが……真っ白、ですね。キャンバス」
そんなマニュアルを言いながら、渡されたものを受け取る。手のひらより、少し大きいくらいだろうか。立派な布が張られたキャンバスを、彼女は苦しそうに見つめていた。
「はい…ここには、私が忘れてしまった『一番幸せだったはずの日』が描かれていたんです。でも、いつの間にか消えていて…。どうか、取り戻してください」
私は彼女の眼を見た。
よくある依頼内容。特段断る理由もない。
「…何も手掛かりがない状態での依頼は、高くつきます。それでも、いいですか?」
彼女は一瞬ためらい、息を吐いた。
「……お願いします」
そんな彼女を見ながら、ふと思う。
…好奇心は、猫をも殺すらしい。
私は静かにため息をこぼしながら頷き、パレットナイフを手に取る。
さっき洗ったばかりの、きれいな年季の入ったそのナイフは、ただ静かだった。
「依頼は成立です。少し痛いですが、我慢してください」
その言葉を聞いた彼女はきょとんとしたまま、動けないでいた。
私は、手にあるナイフを彼女の"真ん中"に刺す。
「…ぁあっ!!」
声を聞き流し、迷わず引き抜いた。
ナイフに乗った色は…紫? なかなかでない色が出る。
どうやら、迷走しそうだ。
彼女はゆっくり膝から崩れ落ち、そのまま倒れた。
遅れて、ドスン、という毎度嫌な音が響く。
「…捜索開始」
私の意識は、紫に吸い込まれていった。
***
大昔に、祖父から言われた言葉を思い出す。
「この店…取り戻し屋は、忘れてしまった記憶や、なくなってしまった感覚を取り戻すことがお仕事でね。
どうやって取り戻すかって? それは、探し物を探すのと同じ感覚。
ただ、普段と場所が違うだけ―――。」
***
目の前が紫に染まる。
強い浮遊感。内臓が逆なでされるような、苦手な人は泣いてしまうほどの恐怖感。
もう慣れてしまった。
「彼女の紫、甘くて、重いな…」
彼女の"意識"を深くまで潜っていく。
一番幸せだったはずの日。そんな抽象的な、あいまいな記憶。私はこういう、他人から見たときに納得できないような依頼が嫌いだった。
「…あ、見えた。彼女の深層世界…。って、うわぁっ」
少しずつ視界が晴れてきたと思ったら、急に重力に引っ張られて落ちていく。
まぁこんなの日常茶飯事なので、特にパニックになることもなく落ちていた。
基本的にここは意識の世界。自分の意志さえ強く持てば、自分が望むように動くことができる。ある意味、制御の利く夢の中。
「…なに、この場所」
軽い体で地面に足をつく。まるで変身したヒーローのようだ。
「チョコレート…?」
そこは、紫色のお菓子の世界だった。
でも、ちっともかわいくはない。紫色のどろどろが呻いていて、クッキーの家もジュースの噴水も、すべて破壊しつくされ、廃墟と化していた。
ついでに変な臭いもした。
「…多分これは、今の彼女だ。触れないでおこう、今はここじゃない」
私はあたりを見渡す。少し奥に、でっかい歯磨き粉みたいな赤と青の城が見えた。
…あそこだろう。彼女が「幸せ」と呼んでいるものは。
彼女の忘れ物を早く見つけて、帰りたい。
道中はとても荒んでいた。特に気になるものはない。
というか、人っ子一人いやしない。ただ自分の足音が、うるさく耳に響くだけ。
「ひどいな」
町中に溢れる紫色は…高貴、嫉妬、欲望、混乱といった具合だろうか。
自分は好きではなかった。直視するのも嫌になるからだ。
城は開け放たれていた。私は普通に中に入る。
豪華絢爛、まさに城。無駄に大きなシャンデリアにでかい部屋。
右を歩けば宝石が光り、左を歩けばナイトがいて。
「…悪趣味」
早く出ていきたかった。変な焦りが生まれる。
…いやな予感がした。
彼女にとって幸せとはなんだったんだろう。この世界が荒むくらいの幸せの消失。
傷つくのが嫌なら、最初から離れておけばいいのに。
ある程度城内を捜索し、でかい扉の前につく。
ここが、最後の部屋だった。扉を開けようと、手を前に伸ばした。
その時だった。
「ねぇ~おねえちゃん! なにしてるの~?」
甲高い子どもの声が馬鹿みたいに静かな城内に響く。
基本的に、この深層世界はこちら側が意思を強固にしていれば干渉してこない。
ただ…唯一干渉してくるものがある。それは自分より強い意志…思い出。
「……………子ども!?」
思わず振り返ってしまう。
そこにいたのは、小さな体躯におさげの髪。おぼつかない足取りの女の子。
ただし、目が溶けている特殊ステータス付き。
その瞬間、思考が爆ぜた。
あ、しくった、やばい。どうしよう、動けない、早く逃げないと、だって、だって、こいつは…。
「…たすけ」
そこからは早かった。目の前にいたかわいらしい女の子は、巨大などろどろしたチョコレートの塊に変わる。
目をつぶる暇もなく、取り込まれた。
***
そこは、息をしてはいけない場所だった。
「おねえちゃん、苦しいの?」
液体が入り込み、ぼやけてうまく映らない私の視界をのぞき込む影。
出なきゃいけない、戻れない。手を上に伸ばして、かき混ぜて、自分が思う上を目指す。
何も変わらないのはわかっていた。でも、くるしくて、どうしようもなくて。
「おねえちゃん。あそぼ?」
小さな子どもの声が、脳内に響く。
空気を吐き出したかった。でもそれすらもできなくて。
つらい、苦しい、なんで、なんで私がこんな目に。
…なんで。
「おねえちゃん」
自然と手が自分の首に伸びる。とにかく苦しかった。喉をかきむしり、空気を求める。
助けて、助けて、いやだ、死にたくない。
「ねぇ、こっちみて」
完全に意思がこちら側の世界に取り込まれていた。こうなってはもう、私は戻るすべを知らない。
少しずつ、思考がぼやけていく。苦しみを手放していく。
…これで、楽に…。
「…おいて、いかないで…」
おいて、いかないで…?
子どもの声が、反響する。
『お菓子、お城、紫、そして女の子』
この子は、彼女の守りたかった大切ななにか…?
私は目を見開いた。
…これだ、無くし物…!!
その瞬間、意識が飛んだ。
***
「っ、はっ…!」
全力で目を見開く。目の前に広がるのは見慣れた景色、手元には小さめのキャンバス。
…よかった、戻ってこれた。
体は嫌な汗をかいていて、私は全力で呼吸をする。
次はもうちょっと、慎重に行こう、なんて半分しか回っていない頭で考えながら。
「……仕事…」
パレットナイフを握りなおす。そこには、色が濃くなった紫がのっている。
「きっと、あの子どもは、彼女にとって大切な存在なんだろう…。置いていかないでってことは、何らかの原因で亡くなってしまった…って線が濃厚なのかな」
記憶を必死に辿り、足りない頭で彼女が欲しているものを考える。
結局、依頼人が求めているものを探し出すのは、推理といっても同然の作業だった。
「もしそうなら…幸せだった記憶なんだよね、じゃあ、あの子の笑顔…かな」
…安直に考え、絵の具をキャンバスに塗りたくる。
いやまぁ、人間の考えって案外安直だったりするのだ。
こういうのは、素直に書いたほうがいい。
隣で倒れている彼女を横目で確認し、筆を進めた。
「…あれ、なんでだ?」
あの子の笑顔を書きたいのに、うまく書けない。
筆跡がゆがむ。絵の中の女の子は苦しそうな顔をする。何度も白で書き直そうと、色を重ねる。
筆が思うように動かなかった。
…どうして?
焦りが募る。今までもこんなことはあったが、こんな極端に体の制御が利かなくなることはなかった。
何度も、何度も、何度も同じ表情を描くパレットナイフが、そこには存在した。
………そもそも、彼女は笑顔なんて浮かべてたか?
「…まぁ!! 素晴らしい!!思い出しましたわ!」
突然頭上でそんな大声が響くものだから、体が勝手に跳ねる。
いつの間にか目を覚ました彼女の手によって、キャンバスが回収されていき、うっとりとした表情で絵の中の子を見つめて、しまいには目に涙を浮かべていた。
「そうです、そうですの。この顔が見たかった…」
…わけがわからなかった。
その絵は、苦しそうな顔をしているのに。
「あっ、いや、…それ、まだうまく書けてなくて…」
慌てて訂正する。でも彼女は別人になったように生き生きしていて。
記憶を取り戻した人間のように喜んでいて。
「何を言っているのかしら…? 私が求めているのは、これですよ?」
…関わっちゃ、いけない人だと本能が察した。
***
手のひらには細長いお札が4枚あった。どれも万札だ。
死ぬ思いをしたのだから、これくらいは妥当だと言いくるめ、払っていただいた。
私の中で、彼女の言葉が録音を巻き戻すように再生される。
『私、この瞬間が一番幸せでしたの!』
…私が体感した苦しさって。
脳裏に子どもの顔がよぎる。
きっと子どもは、やむを得ない理由で彼女の家に来たのだ。そしてその子は、彼女を純粋に信じていた。
「苦痛にゆがむ顔が好きで、子どもを何度も…」
『…おいて、いかないで…』
紫の執着と後悔、恍惚。
「…悪趣味」
なんでキャンバスが真っ白だったのかなんて。
もうずいぶん昔から、私は考えることをやめていた。
―――ここは取り戻し屋。
あなたの忘れてしまったもの、思い出したいもの、記憶に関してなんでも取り戻して見せましょう。
たとえそれが、他人にとって理解しがたいものだったとしても―――。
おわり!!!!
現在ver.と読み比べて、何が変わったか探してみるのも面白い…かもかも?(ちなみにキャッチコピーもころころ変わっております)
ということで最新版をこちらに置いておきますね!!!(定期)
https://kakuyomu.jp/works/2912051598558418152/episodes/2912051598559257222
ちなみにカクヨム甲子園に応募しているのですが、もし技術的な改善点やアドバイスなど、ちょっとした感想でもとても参考になりますので、ぜひコメントしていただけると嬉しいです…!!!
ではまたっ!!