いつもの帰り道、京谷(きょうや)はスマホに視線を下ろしつつ青信号の横断歩道を悠々と歩いていた。
突如として横からの衝撃に襲われたかと思えば、今はヘンテコな空間にいる。
辺りを見回してみても人ひとりの姿もないし見覚えがなさすぎる。
悪い夢だとその場で寝転がるも一向に覚める気配はない。
「うおっ……?」
起き上がると京谷の目の前にはスマートグラスよろしく文字列が浮かびあがった。
【あなたは死にました】
「ん、誰が? え? 俺?」
【お答えします。伊吹(いぶき)京谷さん、あなたは交通事故による出血性ショックで亡くなりました】
「はあ、そうですか……。って、誰か知らないけどマジで言ってる?」
【突然のことでお困りでしょうが、ここで重要なサジェスチョンがあります】
「いや普通に提案って言えよな。なんだあれ?」
【やりのこしたことがある】
【とくにはない(終了)】
それらの文字列は、京谷の目の前に広がる左右の道の先に表示されている。
進めばおそらく次の展開が待っているのではないか?
まるでVRゲームの世界のようだと感じた。
「これもしかして二択ってやつか? なあ、なあ! もし終了を選んだらどうなるんだ?」
【お答えします。文字どおり終わりとなり、その時点であなたの意識は体から完全に切り離されます】
「いやいやいや、おいおいおい、それはダメだろっ……⁉」
京谷は左の道、つまり【やりのこしたことがある】と表示されている道に進んだ。
なぜそこまで焦っているのかというと、持ち歩いているスマホや自宅のパソコンにはpinコードを設定していなかったからである。
仮にそうしていたとしてもいずれ解析されてしまうだろう。
学校では優等生で通していた京谷である。
尊敬の眼差しを向ける同級生をはじめとして、いつも優しい両親や慕ってくれる弟にエッチな秘蔵画像や検索履歴を知られてはまずい。
さすがに死んでまで生前の尊厳崩壊必至の醜態を晒すわけにはいかないのである。
「クソクソクソ、こちとらやり残したことしかねえんだよ!」
【転生しますか? はい/いいえ】
京谷は【はい】と記された道を一瞥(いちべつ)すると考えるよりも前に全速力で駆ける。
【どの姿に転生しますか?】
ここで道は五つに分かれた。
【ダニ】【ゴキブリ】【ノミ】【ヘラクレスオオカブト】【JK】
選択肢が偏りすぎているが、個人機密さえ叩き潰せれば別になんだっていい。
京谷は迷わずJKを選んだ。
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日々クッソ暑いし息抜きに導入だけ書いてみた!
最近は三人称も意識してみたりして?
TSコメディはいずれやってみたいですね!