第三十八話「火を放つ」まで公開いたしました。
ここまでお読みくださっているみなさま、ありがとうございます。
書庫の四男が古代語を授かり、ハーゲン村の代官として一歩ずつ歩み始めて、
ようやく、手のひらの上で燃えていた炎が、板の焦げ跡ひとつぶんだけ外へ出たところです。
二十回撃って、最後の一発でようやく届いた。
レグルスにとっては、ひとつの節目の朝でした。
三十話台に入ってからは、日々の積み上げをじっくり書く時期に入っています。
跳ねではなく、積み上げで進む物語なので、
昨日より半歩、先週より一歩、という歩幅が続きます。
朝の素振りの音、ヤンの棍棒の重さ、
村長宅の卓に置かれた湯呑みの温度、
ロックから届く書状の紙の厚み、
母から託された詩集の白い頁の匂い——
そういうものと一緒に、レグルスの隣を歩いてくださっている方に、
この巻の空気が届いていたらうれしく思います。
これから、火の使い方が少しずつ広がっていきます。
並行して、ニナのこと、村の人たちとの間合い、
そして北の崖のほうの話も、いずれ順に。
更新は引き続き、毎日十九時。
長い旅の途中ですが、どうぞ、もうしばらくお付き合いください。