第百四話「発つ朝」まで公開いたしました。
これで、第一章「書庫から代官へ」はおしまいです。
ここまでお読みくださっているみなさま、ありがとうございます。
七十六話のノートで、ここから先は扉の外の話になります、と書きました。
村の人たちとの間合い、家の話、もう少し遠いところの話。
この二十八話は、そのうちの前のふたつを書いた話数でした。
扉を開けた少年が、次にしたのは、
扉のことを、家の人たちに話すことでした。
剣でも魔法でも、ひとりで積み上げることはできました。
けれど、黙っていたことを口にするのは、
積み上げとは少し違う種類の一歩だったと思います。
兄が扉の前に立ち、父が書斎で声を聞き、
そして、弟から兄へ、縁をひとつ分けました。
ハーゲンの卓に立っていた白と淡い紫の花は、
村を離れる日に、置いていきました。
花のほうが離れるのではなく、こちらが離れる。
帰る場所ができたから、発てるのだと思います。
この章でいちばん書きたかったのは、
出かける朝に、見送る人がいることでした。
父の短い「行け」、母の詩集、
姉の「半分でいい」、兄の「うまくやれ」。
十歳の夕食の席で、誰にも話しかけられなかった末席の四男が、
十二歳の朝、表門で家の全員に見送られて発ちます。
二年かけて、ようやくそこまで来ました。
明日から、第二章が始まります。
舞台は王都。先生の声は、もう届きません。
章の頭に、五十話から百四話までのあらすじと人物紹介を置いておきますので、
途中から読んでくださる方も、よろしければそちらからどうぞ。
更新は引き続き、毎日十九時。
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励みになっております。
長い旅の、ようやく一区切りです。
ここからも、どうぞお付き合いください。