ちょっと堅いタイトルをつけておいてなんなのですが、ラジオ感覚でゆるく話していこうと思います。かしこまった考察文章の書き方はもう忘れてしまいました。
直近更新分の秋分(二)では、中学時代の璃空に少し触れました。深夜出歩きによる補導は頻回、ピアスホールを少なくとも三つは開けて校則違反、学習態度の悪さは明らか……お世辞にも素行がいいとは言えない、あまり関わり合いになりたくないような雰囲気を纏う中学生であったことが察せられます。
外見はどうでしょう。身体つきや顔立ちは高校生現在より幼かったはずですから、にらんでも凄みはつかなかったと思います。髪は……髪や瞳、肌の色素はもともと薄いという設定がありますが、黒染め指導をされるくらいの明るさには染めていたのではないでしょうか。ドラッグストアで買える、自分で染める染料で。少し逸れますが私は中高生が自分で染めたやや色ムラのある髪色が好きです。
前回の近況ノートに記載したキャラクター情報でも言及したように、高校生の璃空も(校則には引っ掛からない程度の明るさに)染髪しています。地毛はもう少し濃い色のはずです。
中学時代の璃空の話に戻しましょうか。学校という枠組みの中では見た目や態度こそ不良少年であり、生徒指導室では校則違反、交番では青少年保護育成という観点から真野家の両親とともにお叱りを受けることは度々ありましたが、璃空はタバコ・バイク・それから暴力をはじめとした反社会的行動は通っていません。絵に描いたようなやんちゃがしたいわけではなかったのだから。
作中では璃空のことを「逆高校デビュー根暗ヤンキー」と称しました。正直あの表現に尽きます。
答え合わせから入る形になりますが、璃空は本来根暗な陰属性です。生まれ持った容姿の華やかさとコミュ力で陽属性の集団に紛れ込むことができるだけで、彼の本質は無気力と自棄です。「どうでもいい/どうにでもなれ」が常に言動の根底にあるわけです。しかしそうした本音を言葉で、あるいは素行という形で表に出せば引かれるということを中学時代に学んだ璃空は、高校進学を機に見た目通りの人物像を演じることを決めました。生き様で悪目立ちしてもいいことなんて特になかった──とは思いつつも、思春期真っ盛りの高校生ノリに巻き込まれるくらいならば一匹狼に戻ったほうがマシだと日々うんざりしているようです。
高校生の璃空は「少し派手」の範疇で収まる見た目と態度を意識して高校生活をこなしています。その気になればためらいなく規則を破れるような危うさを抱えたまま。
ところで。私が今回のノートでこのテーマを取り上げたのは、彼の「やんちゃだった」という設定についてもう少し踏み込んだ話をしたかったからです。
璃空は生まれながらにしてやんちゃな気質です。性格ではなく持って生まれた気質がそうなので、情動と行動のブレーキがききにくい。根暗な陰属性がヤンキーを気取っていたのではなく、己の気質と感情に従順に生きた結果が中学時代の姿だったというわけです。幼い頃から好みの装いがいかつめ系統(なんでもゴツければゴツいほうがいい!色は黒かネオンカラーがいい!みたいな)だったこともあり、見た目の仕上がりは立派に柄の悪い兄ちゃんでした。
「やんちゃをしている青少年は、模範的な学生にはできないような行動をすることで自尊心の一部を満たそうとしている」、と聞いたことがあります。この説の妥当性がいかほどかはさておき、少なくとも璃空はそうではありません。璃空が荒れていた理由は自尊心の不足ではなく、身体の性的な変化を受け入れられなかったからです。身体が性行為に向けた準備を勝手に整えていくことに耐えられず、苦しさのはけ口をふらふらと探していました。それで言えばピアスホールはある種のはけ口でした。『特段おしゃれがしたかったわけではない。自分は周りの子どもとは違うという愉悦に酔いたかったわけでもない。第二次性徴の著しい時期にむしゃくしゃした気持ちのやり場を見つけられず、勢いで開けただけの穴だ。好感を抱かれるべきではない行為だ』というのが璃空自身の考えです(高校二年・小暑より)。痛みを伴うその行為で、彼の心はどれだけ晴れたのでしょうか。あるいは、まったく?
現在は「波風立てない」と「浮かない」を目標に明るく振る舞っていますが、璃空にとって他者評価は元来関心外です。だからピアスホールを閉じるつもりはないし、髪染めもなんだかんだ続けているし、学習態度はお世辞にも良いとは言えない。彼がノー勉(テスト勉強をしていないこと)と言うときは本当にノー勉。どえらいこっちゃ。
叱られたってけろりとしています。嫌われてもこわがられても一向に構わないし、愛されないことを、否定されることをいまさら寂しいだなんて思いません。この承認欲求の欠如こそが、彼が抱える危うさの正体です。
そんな璃空にとって、冷たくあしらっても延々と愛を差し出してくる恒佑が信じがたい存在であることは想像に難くありません。恒佑のことを「どうでもいい」と思えなくなったころ、璃空は初めて自らに愛されるべき価値を見出すのだと思います。
要は、「やんちゃだった」という表現では表しきれない背景というものがありまして……という話です。もう少し実のある内容にできたらよかったのですが、璃空がいかに複雑な人間であるか力説するだけの文章になってしまいました。でも私は……書き手である私は……受けの思考が複雑であれば複雑であるほど萌えるんですわ……(?)
ここまでお読みいただきありがとうございました。小説の続きはそう遠くならないうちに更新する予定です。